”遊山乞食” 山と温泉と

"yusankotujiki" 軽自動車(スバルサンバー)に車中泊ぶらり旅 ~カテゴリー【索引】にリンク付一覧~

蒲田温泉の写真

2019年06月08日 | 
牧水が大正10年に上高地から焼岳に登り、中尾に下ってその日泊まるつもりだった「蒲田温泉」が前年の洪水で流されて無くなっていた・・という記述がある。昨日浸かって蒲田川荘の有った辺りが蒲田温泉と思われた。新穂高の湯の向かいにある砂防塾に洪水の記録が展示されていたのを思い出して、見学に行った。

・国か県の展示施設、FREESPOT有り


・蒲田温泉集落、すぐ手前に蒲田川の流れ


・二階の窓から晴れてたら槍が見える


■大正10年10月 青空文庫 牧水紀行文よりコピペ
一刻も速く其処に着いて命拾いの酒を酌み、足踏み延ばして眠ろうと楽しんで来た蒲田温泉は昨年とか一昨年とかの洪水に一軒残らず流れ去っているのであった。そしてその荒れすさんだ広い川原にはとびとびに人が動いて無数の材木を流していた。その巨大な材木が揃いも揃って一間程の長さに打ち切ってあるので訳を訊いてみると川下の船津町というに在る某鉱山まで流され、其処で石炭代りの燃料とせらるるのだそうである。
 止むなく其処から二里ほど歩いた所に在るという福地温泉というまで来て見ると、此処もまた完全に流されていた。そうなると一種自暴自棄的の勇気が出て、其処から左折して更に二里あまりの奥に在るという平湯温泉まで行くことにきめた。実は今日焼岳に登らなかったならば上高地から他の平易な路をとってその平湯へゆく筈であったのである。福地からの路は今迄の下りと違って片登りの軽い傾斜となっていた。月がくっきりと我等の影をその霜の上に落していた。
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