厚生年金基金の数は、この10年減少し続けています。
基金数は、10年前の約1/3になっています。
8月1日現在の基金数は、642です。
一方、これまでに代行返上した基金は、796です。
解散した基金は、448あります。
代行とは、厚生年金の報酬比例部分を国にかわって代行していることです。
厚生年金保険料の一部を免除されて、その免除分の保険料を基金が徴収し、
基金独自の給付である加算部分と合わせて運用しています。
代行返上には、基金の代議員と加入員の一定数以上の同意が必要です。
また、国に返上する代行部分は、一定の基準に従って計算した金額が必要
になります。
解散には、理事会での決議、加入員、加入事業所の事業主、代議員の一定
数以上の同意が必要です。代行部分が積立不足ではできません。積立不足
の場合は、事業主が加入員の人数に応じた金額を、不足額の穴埋めのため
拠出することが求められます。
今残っている基金の内訳は、単独型と連合型があわせて131です。
総合型が511となっており、圧倒的に総合型基金が多く残っています。
単独型は、ひとつの企業が設立している形態です。
連合型は、株式の持ち合いがある関連企業が、主力企業を中心として
共同で設立しているものです。
総合型は、同業同種の企業や、工業団地あるいは卸商業団地の企業が
集まって作っているものです。
総合型が多く残っているのは、決して財政的に豊かだからではありません。
さまざまな規模の企業が集まっていることから、代行返上や解散へ向けた
コンセンサスが得れないからです。
ここ数年の株価の上昇により、運用難は多少改善されていることに目を
奪われることなく、冷静に加入基金の現状を把握することが必要です。