子供の頃から本好きで、絵本や童話は身近なものでした。年齢が上がっていくと共に読む本のジャンルも好みも広がっていき、外国ものの『シャーロック・ホームズ』 赤川次郎のミステリ―ものは、結構読んだ記憶があります。しかしそれ以外ではミステリー物は殆ど読んだことがありませんでした。 ここ数年の内に読んだものといえば、「点と線」を書いた地元、北九州出身の松本清張。 東野圭吾氏の数冊 (中には途中で読むのを辞めてしまったものもあります) 殆どミステリーものに縁がない私が最近読んで、素直に面白かった本。それは前回、ブログでもご紹介した 『あおい村の点鬼簿』 そして今回ご紹介する 『謎のル―ジュ』です。
小説の舞台は商社です。私のように商社について何も知らない読者でも 商社の世界を体感出来ます。小説を読む楽しみは、まさしくココ!!なんです。 自分が絶対に体験できないようなことを物語を通して体験できる…いわゆる「読書体験」
時代は昭和。 私が生まれた頃に 主人公、綾野高次は入社2年目にして海外出張命令を受けます。 世界を舞台に活躍したい、語学力を生かしたい、と商社を希望し、5年も経つのに希望の海外行きに辿りつけないというのが現状なのでは? という中で、なんと幸運な! いや、それだけ頼れる人材なのですね。 ところが この海外出張、そうは やすやすと事が運びません。 主人公の上司である部長が機上で何者かによって殺害された…。 犯人は内部の人間か? 取引先の人間なのか? それとも海外の日本人会と何か繋がりでもあるのか? 部長の妻、愛人、部下達、 取引先…と 誰が犯人なのか推理しながら読むのですが、それにも増して気になるのは、
「商社って、こんな裏取引をするんだ…。 これらは実際にアリなの?」 等など、商社を知らない私でも興味をそそられるマル秘商談取引の数々。商社を希望する大学生や実際に商社にお勤めの人達には 更に興味深い内容であろうことは、 もう 絶対!です。
そして忘れちゃならないのが、恋愛でしょう~ 綾野高次が会いたい時に会えて、多忙を極める時は、離れられるという手頃さから つい、酒の勢いで付き合い始めた(…という風にしか私には感じられなかったんですが
) 同じく商社に勤める同僚のような女性。 彼女との恋愛も この小説の見どころの一つです。 恋愛模様に関しては、前作 『離れられなくなっちゃう』とタッチが違い、これまた共感出来ます。 女の私ですら、 「あ~ 面倒…」と呟いてしまいそうな場面も。放っておいて欲しいときに そっとしておいてくれる相手を男女関係なく求めているのかもしれませんねぇ。 仕事に一生懸命、恋愛友情も含め、友好&家族関係も仕事をしながら、私生活を送りながら、自然体で付き合っている…こういう状態がベストなのかも。
以前、私が勤めていた「とあるスーパー」の日常を綴ったブログの中で、何度か書いた気がしますが、「人が企業を作る。 また企業が人を作る」 時代や職種は変わろうと、人が相手であるということは変わらないんですよね。それが目に見える人であろうとなかろうと。
社会派ミステリー。 『謎のルージュ』 これって新しいジャンルのような気がします。 是非、ご一読あれ!