日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

下北サンデーズ 著:石田衣良

2019-02-14 13:12:26 | 読書

 物語はいきなり「前説(まえせつ)」から始まります。脚本のように す~っと小説の舞台の幕も上がり、自分も弱小劇団「下北サンデーズ」の芝居を見ているかのように感じます。今から何が始まろうとしているのか? 読者もウキウキ。

 だけど、

悪天候で観客が少ないんですね。舞台に上がった役者から、ちょっと「いじられた」ことがきっかけ(?)で、入団テストを受ける決意をした、星中ゆいか。彼女はこの春、大学生として新生活を始める予定の18歳で、スーツケース一つでやってきたのです。ここからして何か、とんでもないことが次々と起こっていきそうな予感。

個性派劇団員、脚本家、制作さん達の登場で、ゆいかと一緒に目が点になること間違いなし! 何より劇団員生活とは、

「貧乏で、もやしが主食。風呂無しボロアパート住まい。お給料? そんなものは団員には出ないよ。一人チケット30枚さばくこと!」

演劇なんて、一度も経験無し!そんな ゆいかの演技者としての成長、劇団の飛躍、ちょっと売れたことから起こる問題。団員同士の微妙な力関係や変化… さながらジェットコースターに乗っているかのようです。目が回りそう~

 

 劇団員の一人、八神誠一が倒れて緊急搬送された際、駆けつけた団員達に母親が言い放った言葉。

「下北サンデーズって、あなたたちなの。遊びでお芝居なんかやってるから、いつまでたっても誠一は大人になれないの。あなたたちもちゃんと働いて、社会の役に立ってみなさい。いつまで遊び暮らしているつもりなの、ご両親が泣いているわよ」(188ページ8行目)

 

 脚本家の あくたがわ翼は深々と頭を下げ…

「(略)世の中にいる人すべて役に立つ人間ばかりだったら、息がつまると思いませんか。芝居でも音楽でも小説でもいいけれど、一見無駄なものが人の暮らしを豊かにしている。役立たずで悪いけど、ここにいる劇団員は、その無駄に人生かけてるんです。失礼します」(188ページ16行目~189ページ1~3行目)

 

 最も印象に残ったシーンを上記に抜粋してみました。私が初めて演劇を見たのは、中学2年生の時。『サーカス』というタイトルでした。同じ中学に通っていた同級生と、お互いの親と一緒でした。役者さんが全身を使って表現する姿に、いいようのない感動の波が押し寄せてきたものです。すっかり忘れていましたが、機会があれば、小劇団…観てみたいものだと思いました。

 

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