カップラーメンの荷出しをしていると、康永君も台車を引いて、やって来た。一緒にカップラーメンの荷出しをするのは、棚卸し以来だ。そのため、つい、
「あっ!久しぶりね~」
と、言ってしまった。
その後も職場では会っているのだが・・・。
案の定、康永君は、「そうですかあ???」 と返答した。
(昨日も会いましたよ)という表情だ。
明日が給料日ですね、僕、金欠で、苦しいんですよ・・・という話をする康永君。
私ったら 明日が給料日だって事も忘れていた。
「あっという間に一ヶ月がくるね!」
これには、康永君は同意せず、あと残り「うん百円しかないから、待ち遠しい」ということだった。彼にとっては、一ヶ月は長く感じるらしい。
給料の話から、卒業旅行は?という話になり、行くとすれば、東京か大阪辺りだろう・・・という話に。
遂には、康永君が長期家族旅行(三日以上)へいけない理由を知ることとなったのである。
実は、康永君には、子供が 6人も居たのだ!!!
グロッサリーでは、新記録だ!
これまで、子供の数では、トップをひた走ってきた副店長の記録を康永君が抜きました!
遂に記録更新です!
「家を空けられないんですよねえ・・・。犬が6匹もいるから・・・。
しかも、室内に!」
なぬ??犬とな?
「室内って、スピッツか何か??」
「ダックスフンドです」
「全部?」
「ハイ、全部」
康永君の家って・・・さぞかし広くて、賑やかなんでしょうね。
ダックスって、確か、足が短くて胴長のワンちゃんよね?
6匹でその辺を走り回られたら、自分の我が家というよりは、もうお犬様(えっへん)の御殿のようでしょう。
その内、お邪魔致します。あっ、お構いなしで・・・。お茶だけ出して頂けたら、それでいいですから。
なぬ??犬用ガムしか常備していない??
歯が丈夫になるよって・・・?
いっ・・・いいえ。せっかくのご好意ですが、訪問を辞退させて頂きます。失礼しましたっ!
さて。グロッサリーで、もう一人、大家族の人といえば・・・。
南副店長だ。
私が働き始めてすぐの頃、
「結婚は・・・されて・・・ますか・・・?」
と、とても遠慮がちに聞いたのが副店長だった。
「いいえ」
と答えた後、自分の事も言うのかなと、思ったが、ノーコメント。
副店長が結婚してるも、してないも、分からぬまま、二週間が過ぎた。
7月下旬の暑い午後。
プラットホームで入荷商品を台車に積んでいた副店長は、
「俺、ここで一日、何リッター汗かいてるんだろ??俺、すっごい汗かきなんですよ。夜中もクーラーつけっぱなしじゃなきゃ、眠れないんです・・・」
クーラーつけっぱなしだなんて、とんでもない!
「でも、お子さんがいらっしゃるでしょう?? クーラーは、小さいお子さんには、特に、身体に悪いんじゃ・・・」
売り場で発注の仕方を説明してくれる副店長は、何度か、子供の声に反応していた。独身とは違う、何かがある。なんとなく、お子さんがいるのでは?と、感じていたのだ。
クーラーは子供に特に悪い・・・という私の話の内容自体は、どうでもよいようで、副店長は、ぴょん!と、プラットホームから飛び降りると、真正面を見て、まだクーラーについて話している私を遮って真面目に一言。
「はい、子供はいます。5人!」
「はっ!? ごっ・・・5人」
仰天する私を一人残し、南副店長はその場を立ち去ったのであった・・・。
5人・・・って、もしや、五つ子ちゃん!?
( 南家の人々)
ところが、その数週間後。
副店長のお子さんが最近ピアノの発表会があって・・・という話をしたので、
「お子さん、五人、いらっしゃるんですよね?(五つ子ちゃん)」
と、確認してみたところ・・・。
「はい。一ヶ月ごとに、一人ずつ、生まれました!」
これが副店長のお答え。
なるほど、なるほど。
正妻が一人に、側室四人ってことですね!
なかなか、やる~う、副店長も、隅に置けないお方だこと。
グロッサリースタッフの家族構成は、こういう訳で、かなり複雑かつ賑やか。
(まず、正妻との間に一人・・・)
側室との間に一人ずつ・・・
羨ましい・・・の一言です。