2007年3月28日。晴れ。 南副店長と仕事をする最後の日。
ほんの二、三日前まで枯れ木に堅いツボミがつき始めたかな・・・?程度であったはずなのに。
この二日間の暖かな春の日差しをいっぱいに受け、一気に桜の花が開き始めた。
毎年、この近辺へは図書館と公園へ子供を連れてくる為に通ってきた。桜吹雪を追いかける子供の写真を撮りながら、きゃあきゃあ笑ったものだ。
あれから一年後、この、とあるスーパーさくら通り店に勤務するようになるなんて、当時は思いもしなかった。
しかも、こんなに たくさんの人達と出会い、今、迫りくる「お別れ」を惜しんでいようとは・・・。
「おはようございます!」
売り場で南副店長を見つけた私は、ちょっと意識して、にこやかに(^^*)挨拶した。
「おはようございます!」
ここ最近、副店長が突然現れビックリさせられる事が多かったが、今日は笑顔で挨拶できてよかった!
今日は乾物の入荷日及び、発注日だ。
矢木さん、ハマグリ君、高田さん、岸辺さん、康永君が朝から出勤。
「今日が最後なんですよ、私。。。」
売り場で荷出しをしながら高田さんに そういうと、
「ええっ!?!?」
と、いう反応を見せたので、こちらが驚いた。
「だから。。。最後なんです、南副店長と一緒に仕事するのは」
高田さんは大きく深呼吸し、
「なあんだ。鈴木さんが今日で辞めるっていうのかと思った。
俺も最後よ、副店長と仕事するの。明日、俺、休みだから」
「じゃ、一緒ですね、私と・・・」
「社員はグルグル回るからね!又、いつか、一緒になるよ!」
いつか・・・ねえ。
それって何年先の話なんだろう。
「半年に一度は異動の発表があるんだから!秋よ、秋」
と、私の心を見透かしたように高田さんはいった。
カレー粉を出していると、ハマグリ君も他のメーカーのカレー粉を出していた。
「俺も、今日が最後ッすよ、副店長。俺、このう店でも一緒だったすよ、副店長と。今回、初めて、離れるけど・・・」
「私が一番ヘマばっかりして、迷惑かけたし、お世話になったもんね」
「そんなことないっす。俺も一緒っすよ」
「色々なことがあったけど・・・。(ハイジに納豆事件各種)色々あっただけに、居なくなるとなると、寂しいね」
早朝早番だったハマグリ君は、私より2時間半早く上がった。
バックへの扉の前で、副店長に照れたように最後の挨拶をするハマグリ君の姿を荷出しをしながら見ていた。
バックへ行くと、南副店長が、鈴木さん!と、元気よく呼んだ。
思わず つられて、「はいっ」と、力を込めて返事した。
「このスルメ・・・。こんなところから、出てきたんよ」
何故か、岸辺さんの生活良好シリーズのお菓子の台車の近くに「スルメ」の箱が積まれていた。
「何で、こんなところに・・・?」
「俺も、さっき気付いたんよ」
荷台に下ろしながら、すぐ隣に居た南副店長に、言った。
「いつ、挨拶出来るか分からないから(バタバタしていて・・・)、今、挨拶しておきます。
お世話になりました。私が一番、副店長に迷惑かけて、しかもお世話になってると思う」
作業する手を止めて、そういうと、南副店長は
「いやいや・・・そんな・・・」
と、照れ笑いした。
「私、日本で働くの、十数年ぶりだったんですよ!オーストラリアから数えても四年。最初は、どうなることかと思ったけど・・・。上司が南副店長や・・・そして店長や、西村さんじゃなかったら、きっと、続かなかったと思う。」
「長く勤めて欲しいから・・・。
店長を助けてあげて下さい」
副店長は、最後に、そういった。
店長を助ける・・・? 一番、ひよこの私が・・・?
それは、出来ない相談だな。
副店長のセリフを聞いた直後は、私が店長を助けるだなんて、おこがましくて、そう思った。
もう少し、私が使い物になるまで、ここに居て欲しかったです・・・。
それでも・・・。私に出来ることを一生懸命やっていきたいです。
最後に見た南副店長の春の日差しのような笑顔。
私、きっと、一生忘れません。
南副店長、心からありがとう!
そして、一日も早く、店長になって「さくら通り店」へ戻って来てください。
矢木さんも、岸辺さんも、皆、定年を70歳まで延長して南店長として戻って来てくださる日を待っています。
「矢木さんの余命、23年」
と、棚卸の日、言ってましたね!
あのテのジョークがもう、聞けないのかと思うと、残念でなりません。
安見店の皆様、さくら通り店のアイドル、南副店長をどうか、宜しく、お願いしますね!
SEE YOU AGAIN