上下巻、2冊で1200ページ近く! 本を手にした時は、その厚みに 「こんなに長い小説だったっけ?」と思ったが、読み始めたらあっという間だった。シャーロットの妹、エミリーが書いた『嵐が丘』とは大違い! 登場人物は多いものの、一人称で書かれており、主人公、Janeの独白という形をとっているため、混乱することもない。し・か・も!
「読者よ! ...」のように、直接、読み手に向かって、作者が、いや、ジェインが、語り掛けてくるのだ。そんな時は、一瞬、ドキリとする。まるで長い間、音信不通となっていた古い友人の独白を密かに聞いているようで~
Janeは両親に先立たれ、孤児となる。叔父の嫁、すなわち血のつながりがない叔母に引き取られるが、彼女と息子、娘たち、家政婦からも疎んじられ、虐められる日々。これでは、とんだ癇癪もちになったとしても、何ら不思議ではない。『秘密の花園』のメアリも最初はそうだったっけ。孤児が主人公という物語が、この時代、なんて多いのだろう。
ブロンテ姉妹の本に手を伸ばしたのは、『秘密の花園』の舞台と同じく、ヨークシャーだったから。そして、「あしながおじさん」のJudyが手紙の中で触れていたから。
ジェインも、『嵐が丘』の登場人物たち同様、頑固。まるでジェットコースターのような人生を送るものの、ジェインという人となりには、かなり共感できる。
まず...ジェインは、
頑固だけれど、分別がある。人の話に耳を傾ける。自分の力で道を切り開こうとする。学ぶことが好き。
そして諦めない。慣れ親しんだ屋敷を人知れず離れる決意をし、馬車に荷物を置き忘れ、たとえ見知らぬ土地で無一文になったとしても。空腹のあまり物乞いをし、恥ずかしさから人里を離れ、それでも生きる為、再びふらふらと人家へ... ここでジェインを助けてくれた人々との出会いが、ジェインのその後の人生を...
孤児院で8年学び、2年の教員生活を送り、アデルの家庭教師としてお屋敷へ。ようやくつかんだ幸せの絶頂から、突然、転がり落ちたジェインの17~8年の人生の、「その後」が最も興味深い。
『嵐が丘』との大きな違いが面白くて、わくわくして、
「いいぞ~ジェイン!もっと、言ってやれ~👍」と、心の底から応援していた。それは、こんなやり取りがあったから。
「彼の妻となればー 常に彼のそばにいて、常に拘束され、常に抑制され、(途中、略)こんなことが耐えられるはずもなかった。
「セント・ジョン!」内なる思いがそこまで達したとき、私は思ず叫んだ。
「なんです?」彼は氷のように冷たく答えた。
「繰り返して言います。あなたのお仲間の宣教師として(インドへ)行くことには心から同意します。でも、あなたの妻として行くことは同意できません。あなたと結婚し、あなたの分身になることはできません」
「わたしの分身に あなたはならなければならない」彼は落ち着きはらって言った。(467ページから抜粋)
この後も、延々と二人の攻防は続き... 子供のころは、宗教のことは全く分からず、今はキリスト教のこと、イスラム教のこと、一神教のこと、わずかながら分かる程度にはなった。 セント・ジョンのプロポーズは、当時の宣教師(今も?)としては、全うだろうし、それでなくとも男性優位社会だった訳だから、宣教師でなくとも、
「結婚すれば、妻は分身」と考える男性が殆どで、ジェインが望む、「対等な関係」など、期待する方が珍しかったのかもしれない。
それにしてもー
この時代の女性としては、非常に稀な存在のジェイン。
今現代を生きる自分から見ても、眩しいくらいに、はっきりと自分の意見を述べるジェイン。(羨ましいなぁ、ここ、日本においては特に)
『嵐が丘』の感想でも書いた通り、
私は 私。 あなたは、あなた。
ヒースクリフとキャサリンのように、貴方は私。私は貴方。どちらか一方が欠けたら生きていけない、狂人になって、嵐が丘を彷徨い続ける~ そんな関係は到底理解できない。
そして~
作家シャーロットは、「セント・ジョンは、復讐を考えるような人間ではなかったので…」と書いている。妹が描いた『嵐が丘』のヒースクリフという男の復讐劇とは、一見、対照的。
しかし、ヒースクリルもセント・ジョンも、
「妻(愛する女性)は自分の分身」 或は、「自分の半分、一部」
言い方は多少、変わっても、考え方は一緒なのでは? ヒースクリフは感情が爆発するタイプで激しかった。宣教師のセント・ジョンは、落ち着き払っていた、という違いはあれど...。
尚、巻末のブロンテ年表には、次のような記述がある;
「1847年10月 ジェイン・エア出版。好評の内に迎えられ、12月には再版が出る。なお、これに力を借りて、これまで引き受け手がなかったエミリーの「嵐が丘」(途中、略)も出版されるが、物語が暗く残忍だと評される」(584ページ)
ジェインは「若草物語」のジョーにも、少し似ているところがあるかなぁ…
女性の立場が弱かった時代に生まれながら、自分の道を切り開こうと懸命に生きるジェインに勇気を貰ったという女性。「あしながおじさん」のJudy(作家、ウェブスター)以外にも、世界中に大勢いるでしょうね。
日々忙しい生活を送られてるようですが、
その分読書で色々違う方の人生を疑似体験できているのかな?
感動されてる感じが伝わりますね~
そう言えば自分は数ヶ月前に買った本まだ読み終えていない,何処に行ったのかな?(笑)
最近読んだのだと田中角栄の事を書いた石原慎太郎の『天才』が面白かった~
おはようございます。
読んだっけ?
読んだような気もするが、ほとんど記憶にない。
ジェイン・エアの作者シャーロット・ブロンテだけは不思議と覚えている。
多分、女性を描いた作品で長すぎて途中で挫折した本の一冊だと思う。
人生の中で、あまりにもそんな本が多すぎる。
中途半端な人生を送ってきたわけだ。(笑)
今日はいい天気でしたね、
ジェーンエアて、昔、私が若い頃か、もっと前に?
テレビで、見たような気がするのですが、
これはどこの国の人かなあ?
イギリス?フランス?
ヨーロッパの1800年代の小説て、そこそこ(笑)、
良くにてますねえ、
どこの国も、戦争後とか、国内が荒れている時は
女性は、弱い立場に置かれ、苦労します、
実際の事ですが、
先進国では、レディファーストが当たり前
みたいに思われていますが、私は、元を返せば
どこの国も同じような物だと思いますね😅。
頑張って挑戦しようかな~💦
読みやすいのは、一人称ですよね!
石原裕次郎の兄、慎太郎氏が書いた本!
新聞で宣伝を見た時、興味を持ったんですよ~
でも、読んでなかった!
まず、図書館で探してみます。👍
前回、『竜は動かず』の時は、 お江戸でござる!的な言葉遣いでしたが、今回は...
そっか! 私の本文に合わせてくれているのだ!と悟ったのであった!
ジェイン・エアは、是非とも元オリンピック組織委員会の森氏に読んで頂きたい書の1つである。
fukurou様のように、自然や鳥を愛でるように女性を愛し、理解し、接するであろう殿方には、もしかしたら必要ない書物かもしれない。
すず評
こちらこそ、いつもありがとうございます!
本文には、ヨークシャーとだけ、書いていましたね。
イギリスのヨークシャーが舞台です。
ここのところ、ヨークシャーが舞台の本が続きました~
「秘密の花園」『嵐が丘』『ジェイン・エア』いずれもイギリス ヨークシャーが舞台です。
ただ、秘密の花園を書いたのは、バーネットですけど。小公女の作者。
孤児を描いた本が多い、という点では、似た境遇を描いた本が この時代の特徴かもしれませんね。
ただ、今も世界では戦争や紛争、国内にもホームレスや児童虐待などあるわけですから、murasakiさんがおっしゃる通り、時代や場所が変わっても、問題は変わらず存在していますよね。
名作と呼ばれるものは、時代が変わっても普遍的だと感じています。
読み始めたら、結構、一気に読めるかも。
一年生さんに最初にコメント頂いていながら、気付かずに飛ばしてしまいました!
御免さないっ!
コメントの合計数が奇数なので、あれ?と思い、気付いた次第です。
本で疑似体験!
していますよ~
子供の頃から、これが楽しくて、本好きになりました。
気分転換にもなりますしね。
私も買った本は、いつでも読める!と思うからか、後回しになりがち。
図書館は返却日があるため、さっさと読む傾向が...