人など「高度な」生物にみられる閉経は、おそらく進化的要因ではなく偶然によって生じた現象だとする研究結果が、Biology Lettersに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。哺乳類の多くの雌は高齢まで繁殖活動を続けるのに対して、人の女性が人生のおよそ3分の1を残して生殖能力を失うのはなぜなのか、生物学者たちは長年、頭を悩ませてきたそうです。もっと粗野な言い方をすれば、人やシャチなど一部の生物種の雌はなぜ、子どもを産めなくなる年齢を大きく超えて生き続けるのかという問いだそうです。進化生物学者らは競ってこの「繁殖期後生存期間」を説明しようとしてきたそうです。その一つである「おばあさん仮説」は、女性は孫の養育を助けることで、自らの遺伝子が存続する可能性を高めるために生殖期間よりも長生きするという説。しかし別の説では閉経は、世代間で遺伝子を受け継いでいくためのダーウィンのいう「生存闘争」に何らかのメリットをもたらしているわけではなく、単に偶然生じた老化プロセスの「ずれ」だと説明するもの。そこで、過去の人類を含む異なる哺乳類26種に関するデータを検証。データは生存期間や集団規模の影響、閉経後に二つの性のどちらが多数を占める集団にいるかという傾向などについて検証。その結果、2説ともそれだけでは閉経の謎を十分説明することはできなかったが、二つを合わせると明解なストーリーが現れたそうです。繁殖期後生存期間は、偶然生じたものだと考えられるようです。しかし、そこへ進化的『作用』が働き、雌が子どもや孫を世話することが有利となる種で、繁殖期後生存期間が延びたということのようです。
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