特定の種類の「善玉菌」を取り入れて腸内細菌のバランスを整えると、クローン病治療の助けになる可能性があるとの研究結果がScience Translational Medicineに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。痛みを伴う炎症性腸疾患のクローン病の患者数は世界で数百万人に上っているそうです。クローン病の症状には、頻繁な下痢、発熱、筋けいれん、倦怠(けんたい)感、直腸出血、原因不明の体重減少などがあるが、原因はまだ解明されておらず、根治的治療法は確立していません。不定期に現れる可能性のある症状を緩和するために、外科手術や薬剤、サプリメントの投与などが行われているのが現状。論文によると、クローン病の症状を改善させるには、抗生物質を用いて腸内微生物叢の細菌の大部分を死滅させる必要があるそうです。その後、ウレアーゼとして知られる有害な酵素を持たない細菌を腸内に再導入するそうです。研究は、クローン病を抱える子ども90人の便サンプルを分析し、健康な子ども26人と比較。その結果、クローン病患者には悪玉菌のプロテオバクテリアが多数存在することが明らかに。プロテオバクテリアにはウレアーゼ酵素が含まれており、この酵素が尿素をアンモニアに変換し、クローン病における腸内細菌のアンバランスを促していると。そこで、抗生物質のバンコマイシンとネオマイシンを下剤とともにマウスに与えて腸内細菌量を減らした後、単一細菌種の大腸菌を導入。その結果、大腸菌がウレアーゼ酵素を持たない場合、マウスの腸の健康状態は改善されたそうです。一方、大腸菌がウレアーゼを持つ場合には、腸の炎症が悪化したそうです。さらに、実験参加者5人に同じ抗生物質と下剤を与えた結果、腸内細菌量が10万分の1に減少したそうです。
http://www.afpbb.com/articles/-/3150792
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