先日、心臓の僧帽弁膜症患者に対する新たな手術方法を開発されたという発表がありました(YOMIURI ONLINE)。心臓を包む心膜で弁を作製する方法で、従来の「人工弁」より利点が大きいそうです。僧帽弁膜症は左心房と左心室の間にある僧帽弁の働きが悪くなり、血液の逆流などが生じる病気です。治療では弁を修復する弁形成手術を行いますが、全体の約4割の患者は弁のいたみが大きいため、ブタやウシの組織で作る「生体弁」や炭素素材などでできた「機械弁」の人工弁に置き換えます。ですが、合併症のリスクがあるほか、生体弁では再手術が必要になる場合があり、機械弁では血液の塊ができるのを防ぐ薬の服用が必要となるなど課題がありました。今回、患者の心膜を採取し、体外で弁を作製した後、僧帽弁と置き換える手術方法を開発。自分の体の組織を使うので拒絶反応がなく、服薬も不要だそうです。生体弁は1個約90万円、機械弁は約81万円するそうですが、この弁だと約27万円で作製でき、医療費も節約できるそうです。2011年から臨床研究を開始し、12例を実施。今後1年間で同病院など全国6病院で25例を予定しているそうです。国内で年間約5700人の患者に適用可能とみているようです。
先日、ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解する細菌の発見とその分解メカニズムの解明したという発表がありました(財経新聞)。PETは、ペットボトルや衣服などの素材として世界中で活用されているのは皆さんもご存知ですね。その一部はリサイクルされていますが、対象はペットボトルに使われたものだけで、全体のPET生産量に対して4.1%にとどまっているのだそうです。そして、PETの多くは自然界に廃棄され、PETは分解されないと考えられてきたそうです。しかし、今回の研究結果によって、この通説が一部くつがえされたことに。今回の成果を活用したPET分解は、化学処理に比べ、エネルギーの消費が小さく、環境にやさしい手法だそうです。
スギ花粉などで起こるアレルギー性結膜炎を涙で判定する新手法が開発されたそうです(YOMIURI ONLINE)。アレルギー性結膜炎は約2000万人の患者がいるとされ、かゆみや充血が起きるものです。重症化するとまぶたの裏側が膨れたり黒目の表面が傷ついたりして、手術が必要となることも。アレルギー反応が起きている細胞では骨や皮膚の再生に関わる「ペリオスチン」というたんぱく質が多く作られることに着目。アレルギー性結膜炎患者の目尻から涙液を取り、ペリオスチン濃度を調べた結果、患者55人では大量に検出されたが、健康な18人からはほとんど検出されなかったそうです。重症者の濃度は軽症者の7~29倍で、重症度の判別にも使えそうなことが分かったそうです。この検査の精度は90%超と高く、医療現場で早期発見ができるよう約10分で判定する機器の実用化を目指すそうです。
子どもの誕生や応援するスポーツチームの大勝など、うれしい出来事が「ブロークンハート症候群」と呼ばれる危険な心筋疾患を引き起こす恐れがあるとの研究結果が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。ブロークンハート症候群は、酸素を豊富に含む血液を全身に送り出す左心室の底部が異常に膨張し、心筋の働きが突然弱まる疾患。激しい胸の痛みと息切れの他、心臓発作を起こして死に至ることもあるそうです。膨張した心腔がタコを捕獲する日本伝統の罠に似ていることから、「たこつぼ症候群(TTS)」としても知られるそうです。この疾患についてはこれまで、配偶者の死や激しい口論といった、多くは不愉快な出来事による、予期せぬ精神的ショックが発作の引き金になる恐れがあると考えられてきたそうです。世界9か国25医療機関からなるネットワークでの5年間の情報収集により、1750人の患者についてのデータが集まったそうです。そして、このうちの485件について精神的ショックが同疾患の原因だったとの結論に。また、このグループの約4%にあたる20人は、うれしい出来事が原因で疾患を経験した可能性があるそうです。研究結果によると、「ブロークンハート症候群」と「ハッピーハート症候群」双方のグループでは、患者全体の95%を女性が占めたそうです。また、大半は60代後半だったとも。
先日、内閣府の生命倫理専門調査会が、遺伝情報を高精度に改変できる技術「ゲノム編集」を人の受精卵に適用する是非について、基礎的研究なら「容認される場合がある」との方針をまとめることで、ほぼ合意したと報道がありました(YOMIURI ONLINE)。不妊や難病の治療方法の開発を促す可能性があり、社会に受け入れられると判断したそうです。ただし、遺伝子を改変した受精卵を子宮に移植して赤ちゃんを作ることには、現時点で容認できないとの姿勢を示したとも。ゲノム編集による人の受精卵改変を巡っては、中国の研究チームが実施したとの論文を昨年4月に発表し、米政府が越えてはならない一線だと批判する声明を出していました。一方、英国では先月、受精卵を改変する基礎研究計画が承認され、昨年12月の国際会議では基礎研究を容認する声明がまとまるなど、日本国内でもルール作りが急務となっています。報告書は来月にもまとめられるようです。
糖尿病の治療薬に大腸ポリープの再発を防ぐ効果があるとの研究結果が発表されたそうです(YOMIURI ONLINE)。広く服用されている糖尿病治療薬の一つ「メトホルミン」を使う糖尿病患者が、使わない患者と比べ、大腸がんの発症が少ないことに注目。大腸がんになる前段階のポリープを切除した患者151人を対象に、メトホルミンの服用により、別の部位でのポリープの再発が抑制できるかを調べたそうです。その結果、メトホルミンを毎日服用したグループでは、切除後1年間のポリープの再発率が32%と、服用しなかったグループの52%を下回り、かつ重い副作用は起きなかったそうです。
ロシアと欧州宇宙機関(ESA)による火星探査共同プロジェクト「エクソマーズ(ExoMars)」のミッション第1弾として3月14日、無人探査機を搭載したProtonロケットが、カザフスタンにあるロシアのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたそうです(AFPBB NEWS)。ロシア宇宙庁は、グリニッジ標準時(GMT)14日午前9時31分(日本時間午後6時31分)に打ち上げが「無事完了した」と発表。プロトンは7か月をかけて宇宙空間を旅し、10月に火星に到着する予定だそうです。搭載されている周回機トレース・ガス・オービターは、火星の大気圏に突入する数日前に着陸探査機Schiaparelliから分離され、火星の写真を撮影する他、メタンを中心に火星の大気の分析などを行うそうです。
肥満ではないのに高血圧や高血糖などの異常を複数持つ「隠れメタボリックシンドローム」の患者は全国で914万人に上るとする推計を、厚生労働省研究班がまとめたそうです(YOMIURI ONLINE)。さらに、現在のメタボ対策は肥満を前提にしているが、肥満でなくても高血糖、脂質異常などの代謝異常が重なると心臓病などのリスクが高まるということのようです。研究班は来年3月までに、隠れメタボの診断や生活習慣改善の指導法をまとめた指針を作成するそうです。研究班は、1997~2012年に国立長寿医療研究センターが実施した40~79歳の男女約4000人の健康調査データを解析。男性の10・9%、女性の13・6%が、体格指数(BMI)25未満で腹囲もメタボの基準未満なのに、高血圧、高血糖、脂質異常のうち二つ以上の異常を持つことがわかったというもの。この数字をもとに、全国で男性380万人、女性534万人の隠れメタボ患者がいると推計したそうです。
コーヒーチェーン大手のスターバックス(Starbucks)などが提供するホットドリンクの糖分の量が「危険なレベル」に達していると指摘する報告書を、英非営利団体が発表したそうです(AFPBB NEWS)。名指しされたスターバックスやコスタ(Costa)は、もっと健康的なドリンクの提供を約束すると表明したそうです。英国内に展開するコーヒーチェーンとファストフードチェーンのメニューに掲載されたドリンク131種類を分析。このうち実に98%で、砂糖含有量が英消費者向け食品指針で「摂取量を減らすべき」とされる「赤」の水準に達していることを発見。たとえば、スターバックスではオレンジとシナモンスティックを添えたグレープフレーバーのホットチャイの最大サイズ「ベンティ」に含まれる砂糖の量は、小さじ25杯分に相当する99グラムだったそうです。シグネチャー・ホットチョコレートも、「ベンティ」サイズには小さじ15杯分の砂糖が入っていたそうです。コスタの場合は、チャイラテのラージサイズに含まれる砂糖の量が小さじ20杯分に。一方、ケンタッキー・フライドチキン(KFC)のカフェモカにも、小さじ15杯分の砂糖が含まれていたそうです。スターバックス広報は、2020年末までに加糖ドリンクの砂糖量を25%削減すると発表したうえで、「甘さを控えたドリンクも提供している」と強調。コスタ広報も、ドリンクの糖分削減に向けて対策に着手していると説明し、「引き続きバランスのとれたメニューの提供に向け改善を進めていく」と述べたそうです。
ペルーの首都Limaで研究者らが、ジャガイモが火星での栽培に適しているかどうかを調べる実験を開始するそうです(AFPBB NEWS)。実験を行うのは、米国航空宇宙局(NASA)と、リマにある国際ポテトセンター(CIP)。研究者たちは、火星の自然環境に似せた厳しい条件下で厳密に評価され、4500品種の中から選ばれた100品種を実験で栽培。将来的に火星での野菜栽培用ドーム建設に道を開く可能性がある実験となるようです。100品種のうち40品種はAndes山脈原産で、さまざまな生態地帯で育ち、急な気候の変化にも耐え、岩が多く乾燥した地域で育つ品種だそうです。残りの60品種は、少ない水分と塩分でも育つように品種改良されたもので、ウイルスに対する免疫もあるそうです。研究者らは、厳しい条件下で栽培するのに適した品種を特定することで、この実験が飢えや栄養不良といった地球上での問題にも対応するのではないかと期待を寄せているそうです。