道展、全道展に次いで1955年に発足した団体公募展である「新道展」(新北海道美術協会主催)。
ことしは9月6日未明の北海道胆振東部地震による道内全域の停電で、会場の札幌市民ギャラリーが同日から休館してしまい、新道展も会期を4日残して終了という、異例の事態になってしまった。
筆者は9月5日に見に行き、同協会の後藤和司事務局長から撮影許可をもらっていた。
地震のため見に行けなかった人たちのこ . . . 本文を読む
(承前)
北海道美術工芸協会の主催する「美工展」が45回の節目を迎えました。
道展、全道展にも工芸部門はありますが、美工展は道内で唯一、工芸部門だけからなる団体公募展です。
記念の図録の巻末に掲載された年表「45年のあゆみ」によると、同協会の発足は1973年。翌74年に丸井今井札幌本店で第1回展を開いたそうです。
ちょっとふしぎなのは、名称が「北海道手工芸美術協会」と決まったのが75 . . . 本文を読む
(承前)
美工展には、次の部門が設定されています。
押花・織・ガラス・金工・組紐・刺しゅう・染色・籐・陶芸・人形・皮革・ペーパークラフト・ボビンレース・木彫・木工・葉彩画・和紙絵・その他の工芸
道展や全道展では作品を見かけない分野もあります。
かつては陶芸が多かったのですが、その後は出品者が減っています。
画像は事務局長の山谷智子さん(札幌)の「古城―サレルノ―」。
イタリアを旅し . . . 本文を読む
※日程が違っていたので直しました。おわびして訂正します。
絵画、工芸、写真の3部からなる団体公募展。
北海道美術作家協会の主催で、1969年に第1回が開かれました。
筆者は第46回展の際はかなり厳しいことを書きましたが、あの時よりは出品も増えて、それなりのにぎわいを保っているように感じました。
ただ、1人で2点、3点と出品している人も多いです。
2階は写真です。
会員54人、会友 . . . 本文を読む
(承前。敬称略)
会場でなんだか筆者の目に付いたイメージ。それはカラスだった。
版画の会員、重岡静世の「瓦解」は、上半分にカラスの群れ、下半分に枯れたヒマワリを、オレンジと灰色を主体に描き、暗鬱とした雰囲気に満ちている。
この作品自体はなんら政治的な主張をしているわけではないのに、いままさに全体主義に舵を切ろうとしている日本社会を予知しているようでもあり、静かな力でこちらに迫ってくる。
. . . 本文を読む
全道展の陳列パターンは毎年少しずつ変わる。
一般出品者でもっともすぐれた作品として表彰される「全道美術協会賞」の受賞作が、いちばん広い1階の大部屋(展示案内の「2」)の、北東側の端に展示されるという慣例は同じで、会員の絵画が1階の「3」以降に、版画が2階に上がってすぐの部屋に(ここは道展では「日本画」のコーナーだ)、工芸が2階奥のロビーに、それぞれ展示されるのも、かなり以前から続いている。
. . . 本文を読む
0.前置き
道内にいくつも存在する団体公募展のうち、全道展、道展、新道展が、それぞれ創立70年、90年、60年の節目の年を迎え、順次、道立近代美術館で記念の展覧会を開いているが、トップバッターの全道展の記念展では、関連行事として、美術ジャーナリストの村田真さんの講演会を行った(引き続き、会員による素人演劇もあったが、筆者は見ていないし、この項の本題に関係ないので省略する)。
(そもそも団体公 . . . 本文を読む
北海道には、絵画などの美術の団体公募展がいくつかありますが、全道規模で大きなものは、1925年(大正14年)発足の北海道美術協会(道展)、1945年(昭和20年)創立の全道美術協会、1955年(昭和30年)旗揚げの新北海道美術協会の三つです。
この三つがお互いに競い合い、戦後の道内美術は発展してきました。
しかし、近年は、若い世代を中心に、団体公募展離れが進んでいます。
ギャラリーが増え . . . 本文を読む
(承前)
版画。
伊藤倭子、大井戸百合子、大野重夫、渋谷正巳、玉村拓也、手島圭三郎、渡会純价、和田バロウズ裕子(いつからこんな名前になったんでしょう)といったベテラン勢については安心して見ることができるので、何も言うことがない。福岡幸一はなおアンモナイトシリーズ。水落啓はのんきな感じが良い。
関川敦子「雨の日はレモネード」は、細部に遊びが満ちた楽しい作。彼女の作品には、擬人化した動物と . . . 本文を読む
最初の感想は
「作品が以前より少ないな」
というものだった。
札幌市民ギャラリーで開かれる団体公募展といえば、多くが2段掛けで、絵の左右を詰めてびっしりと陳列する、というイメージがあったからだ。
ことしの全道展は、陳列点数497点。もちろん、大変な数ではあり、筆者も3時間ぐらいかかって鑑賞したが、以前にくらべると2段掛けの壁が減り、絵と絵の隙間もあったように見受けられた。
すくなくても、「 . . . 本文を読む
(文中敬称略)
2008年から隔年で毎春に開かれている、行動展北海道地区作家展を、4年ぶりに見た。
全国的な団体公募展の中でも、筆者がわりあい好感を持って見ている行動美術であるが、今回の第一印象は
「4年ぶりなのに、ぜんぜん変わってないなあ」
というのが正直なところであった。
もちろん、会員たちの作品は、高い水準で安定しているということができるし、コロコロ変わればいいってもんじゃないだろ . . . 本文を読む
団体公募展は、たくさんあるので時々わからなくなるけれど「モダンアート協会」は1950年、自由美術協会(当時は自由美術家協会)の創立会員だった山口薫や村井正誠らが旗揚げした。
筆者は毎春の展覧会を見たことがないので確たることは言えないのだが、抽象的な作品が多いと聞いている。絵画部が最大勢力だが、彫刻、版画、写真、スペースアートの計5部門を有する。
1958年に砂澤ビッキと小松清がそろって新 . . . 本文を読む
(文中敬称略)
北海道美術作家協会主催の「道美展」を5年ぶりに見た。
絵画、工芸、写真の三つの部門からなる団体公募展で、会員、会友、一般の3段階があるところは、先発の道展、全道展、新道展と同様である。
ただし、最高賞が「北海道知事賞」であるなど、賞の構成は、先発の3大公募展とは異なる。
最大の違いは、会員、会友への昇格が、他の団体公募展に比べてはるかに緩いことで、この数年、会員への昇格は . . . 本文を読む
(文中敬称略)
道展、全道展についで1955年に発足した新道展(新北海道美術協会主催)の展覧会。
(ここらへんの団体公募展の話がよくわからんという人はこちらの記事「「全道展」と「道展」ってどう違うの?」をどうぞ)
筆者は、団体公募展じたいを見るのが久しぶりだったせいか、2階の下り用階段のところまできてはじめて、藤野千鶴子や鈴木秀明、今荘義男の絵を見ていないことに気がついた(会場の札幌市民ギ . . . 本文を読む
(承前)
前項が半世紀の歴史で終わってしまったので、展覧会の内容について。
地方の団体公募展はほかもそうだと思うが、オホーツク美術展も絵画作品が多い。
招待2、会員41、会友15、一般47点と、展示作の過半数を占める。
ただ、オホーツク美術展の大きな特色として、工芸も一大勢力をなしていることが挙げられる。
会員12、会友4、一般12点が出品されている。
染織などもあるが、大半は陶芸 . . . 本文を読む