この文章を書いているのは10月14日。
本日をもって、過去のこの手の催しとはくらべものにならないほどの多くの話題を提供した「あいちトリエンナーレ2019」が閉幕する。
9月28日に筆者が「2019年秋の旅」から帰ってきたとき、可能ならばあいちトリエンナーレ終幕までに、見た感想をまとめたいと思っていたのだが、まったくムリであった。
ものすごい本数になりつつあるので、途中ではあるが、さくい . . . 本文を読む
(承前)
岡山芸術交流は、ひとつの会場で少数のアーティストの作品しか発表していないので、移動にそれなりの時間がかかりました。各会場間の距離はそれほど離れておらず、すべて徒歩圏内でしたが。
ただ、チケットを買った際に渡された地図がひどかったです。
各会場の位置は正確で見やすいのですが、入り口がどちらにあるか書かれていないので、行ってみると建物の裏手で、切り立った石垣がそびえていて入れないーと . . . 本文を読む
(承前)
前回の更新から1週間以上が過ぎてしまい、旅も終わりに近づいて筆者のモチベーションがダダ下がりなのがはた目にもバレバレになっており、申し訳ありませんが、がんばって続きを書こうと思います。
前項で筆者は「岡山芸術交流」に否定的なことを書きました。
ただ、これはあくまでリボーンやあいトリに比較して、とのことです。
もしこの内容の展覧会が道内で開かれていれば、見に行ったでしょうし、 . . . 本文を読む
(承前)
この「秋の旅」の日程はさくいんにも記したとおり「岡山芸術交流」の開幕に合わせたものなのだが、結論から先に言うと(そして、もう会期はおわっているから営業妨害にはならないだろうけど)、東日本大震災からの復興という背景があってその土地にしっかり目を向けた作品の多かった「REBORN ART FESTIVAL」、「情の時代」をテーマに掲げて現代社会とそこに生きるアーティストや人々の問題とがっ . . . 本文を読む
(承前)
「円頓寺の夕暮れ : 2019年秋の旅(54)」でも紹介したので、しつこいと感じる方もおられるかもしれないが、今回のあいちトリエンナーレ2019で、ほんとに「意外な収穫」(つまり、ホー・ツーニェン作品が良かったとか、モニカ・メイヤーと藤井光が重たかったとか、そういうのとは違った方角の良さ)というか「個人的に、すっごく心地よかった」のは、「アート・プレイグラウンド」と、四間道 し け . . . 本文を読む
(承前)
円頓寺商店街エリアで、もうひとつ気になっていた作品。
公式サイトでは、次のように説明されている。
この会場には、3つの作品が展示されています。《君之代》では、1895年から50年間に及ぶ日本統治時代に国家教育を受け、日本語を話すことができる 台湾のお年寄りへインタビューを行っています。《ずっと夢見てる》では、深夜に公共の場で眠る酔客へ、グローバル企業のロゴが記された布をかけてい . . . 本文を読む
(承前)
超長期連載となっている「2019年秋の旅」だが、冗談でも何でもなく、4カ月も前のことはかなり忘れかけているので、先を急ぎたい。
幸か不幸か、アート関連の記事は、もうあと数本しか予定していないから、簡略にいきます。
四間道・円頓寺 し け みち えんどう じ エリアで、SNSなどでの評判が高かった発表を二つ、前日に見ないまま終わっていた。
ひとつは、弓指寛治ゆみさしかんじ の . . . 本文を読む
(承前)
豊田市美術館を出て、となりにある旧豊田東高校のプールに足を運ぶ。
ここは10年以上前に高校が移転した跡らしい。
今回訪れた3カ所では、学校のプール跡がいずれも会場になっていた。
高嶺格さんの作品は、いつも、言語化が容易でない部分をはらんでいるが、今回はいつにも増して難しい。
ただ、プールの床の一部をはがして、垂直にした、ある意味でシンプルなものだ。
意図が明示されている . . . 本文を読む
(承前)
豊田市美術館の館内で印象的だった作品を、もうひとつ。
こちらは、ロネケ・ゴルダイン(1980年生まれ)とラルフ・ナウタ(1978年生まれ)により2007年、アムステルダムで設立されたユニットによる発表。
冒頭画像は、作品を真下から見上げて撮ったもの。
どういう雰囲気なのかは、横から撮影したつぎの画像で、だいたい分かると思う。
天井からつり下がっている花のようなあかりが . . . 本文を読む
(承前)
豊田市美術館でいちばん良かったと思う作品について書く。
天井からは、巨大な人の指先がにょきっと生え、床の上には、旧ソ連の国旗にデザインされ、そして共産主義のトレードマークともいえる鎌とハンマーの一部が置かれている。
通称「カマトンカチ」は、農民と労働者の団結の象徴なのだ。
これらが、もともと極めて巨大な彫刻の一部であるということは、事情を知らなくてもなんと . . . 本文を読む
(承前)
あいちトリエンナーレ2019が終わってしまったいまとなっては、すでにどうでもいいような情報なのだが、なにを言いたいかというと
豊田市美術館は山の上にある!
ということだ。
次の画像は、館に向かう坂の途中の風景。
今回の豊田市行きは「ホー・ツーニェン作品が混雑しているといけないので、朝イチで行く!」という方針が先に決まっていたため、後半に美術館に行くという道順になったが . . . 本文を読む
(承前)
先を急がなくてはならないのだが、豊田市会場で異彩を放っていた若手の作品にちょっとだけ触れたい。
上の画像に「レンタルあかちゃん」とあるから、利重剛が若い頃に撮った短編映画「レンタチャイルド」のようなものかと思ったら、まったく違った。
鑑賞者が参加する一種のシミュレーションゲームのような作品だった。
そして
「何番を選べば、赤ちゃんはこうする」
みたいなシステムについても
「赤 . . . 本文を読む
(承前)
この作品を見たのは、ホー・ツーニェンの重量級の作品に圧倒された直後だった。
つい忘れがちになるけれど、起源からいえば、上に載っている像よりも大事な存在である「台座」そのものをテーマにした作品だ。
何の台座かというと、前項の最後にカラー写真が小さく写っていた、菊池一雄「平和の群像」。3人の裸婦像だが、その台座部分である。
これは1951年、皇居堀端の三宅坂小公園に設置されたも . . . 本文を読む
(承前)
前回の記事から半月以上がたってしまった。
しかし、ここまできて、完結をあきらめるわけにはいかない。
小田原のどかさんの作品は、豊田市駅周辺の2カ所に展示されていた。話の都合上
↓ (1946-1948 / 1923-1951)
と題された、名鉄豊田市駅下の展示から先に書く。
筆者にとって小田原さんは、まず何よりも、文章の人であり、評論の人だった。
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(承前)
豊田市駅の周辺では、実際に見た順番とは違う順で作品を紹介していこう。
豊田市、ということで、あのトヨタ自動車に題材を得たトモトシさんの作品は、わかりやすくオモロカシイ(©江口寿史)ものだった。
だいたい、タイトルからして、トヨタのCMでおなじみの
「Drive Your Dreams」
のもじりである。
豊田市は、もともと挙母という地名だったが、企業城下町としてマチの名まで変 . . . 本文を読む