老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

前 と 後 

2016-08-28 10:32:40 | 俳句
八月の十九日、入院をしてから四日目に 「経皮冠動脈形成術」を受ける。
前々日の検査で、術そのもののがどういうものであるか、経験をしている。
今回は、冠動脈の狭窄部位にカテーテルを入れ、風船を膨らませたり、ステントを入れたりすることで冠動脈の血管を広げる。

検査の時、鼻の周りが痒くて困ったので、今回は、痒み止めをたっぷりと鼻の頭から周辺に塗ってゆく。

終わると、先生が、施術前の心臓の血管と術後の血管を、パソコン画面に映したのを見せて下さる。

ビフォーとアフタァーである。

ぼろぼろの、蜘蛛の巣が張ったような血管が、どくどくと血の流れの良い、小川に変身を遂げてる。

良かった思った。本当に良かった。

手術の最中は、「医師」の職業観と倫理観を考えていた。
今、ひたすら私の血管に向き合い、患者に励ましの言葉をかつ、同僚医師と相談しながらことを運んでいる。
生きがいは何だろう?使命感か?

私の人生観が変わったかも。


        


師が毎日、掲載をしている読売新聞の「四季」の切りぬき帖を持ってきていた。
万人が読んで、自分で気がついていても、言葉に出来なかった日常を詩情を交え俳句に詠んでいる「四季」の切りぬきだ。
出版されるまでは、この「四季」を切りぬくのが私の日課。

ベッドでパラパラと見ているだけで、写真付きで 師 の短い的を得た鑑賞が勉強になる。
膝にのせても軽い。頭は使う必要がない。

世の中には素晴らしい俳人が沢山いる。
一度、賞などもらい名前がうれると、あぐらをかいてそれっきりの俳人も。
そんなことも思いながら、この切りぬき帖を見ていた。


     🍒    夫告げる虫の集ける我が庭ぞ

      🍒    スメタナの流る病室桃を剥く

     🍒    さわやかや四時間前は手術中
コメント
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