日本時間で昨日未明、米合衆国、オーストラリア、インドの各国と我国による 4カ国首脳会談が TVのオンラインにより持たれた。主な議題は「自由で開かれた インド太平洋地域の構築」と「新興国をも含めた 新型コロナ・ウィルス感染症予防ワクチン普及に向けた協力」の由。既に会談後の米有力紙への共同寄稿も行われ、まずはこの 4カ国の決意を世界へ向け発信したという事だろう。以下 時事通信ネット記事他を引用して、少しみて参りたい。
「『インド太平洋』へ決意=日・米・豪・印首脳、米紙に共同寄稿」
米紙ワシントン・ポスト電子版は、菅 義偉(すが・よしひで)首相、バイデン米大統領、モディ印首相、モリソン豪首相による日本時間 3/14付の共同寄稿を掲載した。4カ国(通称クァッド)の枠組みでは初となった 3/12の TV首脳会議を踏まえ「自由で開かれたインド太平洋」実現へ連携を強めていく決意を表明した。
前述 4首脳は「インド太平洋全域が連結され 機会を得た新時代において、苦境に立つ地域の支援で協力するため、我々は集結した」と強調。「インド太平洋が、国際法及び航行の自由や紛争の平和解決といった基盤となる原理によって統治され、すべての国が強制されることなく政治的選択を行えることを確実なものとするため、我々は奮闘している」と指摘し、名指しは避けたが 中国(大陸)を牽制した。
また、気候変動問題に取り組む他、新型コロナ・ウイルス(感染症)対応でインドでのワクチン増産を表明。東南アジア諸国連合 ASEAN諸国を初め 太平洋の島国、インド洋地域とのパートナー関係を強化する方針を示した。
4カ国(クァッド)共同声明のポイント
▽自由で開かれ、ルールに基づく秩序の推進に関与
▽東・南シナ海での海洋秩序への挑戦に対応するため、海洋安全保障協力を促進
▽インド太平洋地域への 新型コロナ・ウィルスの(予防)ワクチン普及へ協力
▽前述ワクチン、気候変動、重要・新興技術の 3作業部会を設置
▽年内に 対面の首脳会議を開催。外相会議を少なくとも年 1回開催 (引用ここまで)
インド国の非同盟方針に配慮し名指しは避けながらも、東・南シナ海での 強い軍事力を背景にした中国大陸の一方的ともいえる現状変更の意図は、何らかの強い牽制力を持って抑制されなければならない。数字の「4」の意を持つ前述 4カ国による云わば「Quad(クァッド)」の枠組みは、対中牽制に際し大きな力となる事が期待されるものだろう。国際的論調の中には「経済面での効果が大きくない」などとして過少評価する論調がある様なのも聞いてはいるが、強引な海洋進出を図る中国大陸の様相も考えると、経済効果だけでこの連携をみるのは適切ではないだろう。
中国大陸は、軍事力をバックにした強引な進出策に留まらず、未だ世界で流行の 同国産の新型コロナ・ウィルス感染症予防ワクチンを新興国多数に無償供与などする事によって、強く阿漕な外交戦略も 併せて打ち出してきている。少なくとも拙者が強い違和感を覚えた、東京及び北京五輪及び障碍五輪への 自国産予防ワクチン提供の申し出にしても、所謂「ワクチン外交」の一環ではないかとの指摘も聞く。中国大陸は この様に硬軟両面を巧みに使い分けて、対外戦略を自国有利に進める挙に出てきているのである。
そうした動きと対峙せざるを得ない以上、安保、医薬などの面で 4カ国が連携するのは有意義であり、国土地勢上の面からも当然の流れといえるのではないか。前述感染症予防ワクチンについては、印国内の薬品業界を様々に支援。新興諸国向けに多くを供給して行く考えが表されている。我国内の対応と共に、是非速やかな実現を望みたいものだ。
クアッド連携については、英、独両国も理解を示し、インド太平洋海域への艦船派遣も視野に入れていると聞いた。こうした欧州などの近い立場の国々の理解と協力も得て、それらを活かしながら 中国大陸と対峙して行く姿勢も必要だろう。既に同国側から 改正法で 海警局の武器使用に道が開かれた件につき、少なくとも当面は使用を自制する表明もされているとか。信頼度には疑問符がつくも、とりあえずの効果としては評価して良いだろう。
4カ国連携は 各国が対等な立場で諸問題と向き合い、我国が憲法上制約の大きい安保面での協力も、可能な限りで尽力する姿勢が大切だろう。そうした事の積み重ねが、各国相互の信頼を高める事となれば幸いな事だが。前述共同声明では インド太平洋地域の安保、新型感染症予防ワクチン増産の件と共に、気候変動問題の対応策や 所謂「5G」などの高速大容量通信技術連携についても話し合いが持たれた事も付記しなければならないだろう。今回画像も先年ので恐縮。静岡・浜名湖畔を大阪方面へ下る、東海道・山陽新幹線列車の様子を。