中央アジア・アフガニスタン国の今回政変は、予想外のスピード感を以て進行した様だ。今月末で撤退予定の米合衆国軍の動向を見透かした様な、イスラム原理志向の反政府勢力・タリバーンによる再度のほぼ全土制圧。旧政府のガニ元大統領は国外に出、アフガン国民多数が 旧タリバーン政権で見られた抑圧的政治の復活を警戒して国外脱出を図ったはご存知の通り。
首都カブールをも制圧したタリバーン政権は、従来と異なる 女性の社会活動などを一定は認める方向を仄めかしてはいるが、その一方 あくまでも旧来のイスラム法シャリアに基づく統治の方針は変わらないとされる。つまり 欧米流の民主制や、これまで軌道に乗る途上にあった 女性の教育や社会進出の機会が又も閉ざされる可能性が大きくあるという事だ。アフガン新政権に対しては中・露両国が接近の方向を明らかにする一方、欧米諸国は概ね抑圧的内政の可能性を懸念しながら様子見の方向が主な様だ。我国の姿勢も 基本は欧米勢に準じようが、一方で イスラムにはイスラムの正義がある事にも一定は留意した方が良い様にも思う。
と同時に、安全上のリスクが拭えぬなら 同国日本大使館や国際協力機構 JICAの関係各位など、在留邦人の方々の国外退避も視野に入れる必要があろう。既に外務省などで検討に入っている様だが、アフガンの農業など平和的経済に貢献しながら 勢力間対立に巻き込まれる形で斃れた 中村 哲医師に続く犠牲を生じてはなるまいて。こうした苦渋からの教訓として、速やかで確かな現地邦人各位の安全確保にも注力すべきだろう。それが、中村医師の犠牲に対する 大いなる供養の一つにもなるのだ。
本題です。流行規模を増す 中国大陸他由来の新型コロナ・ウィルス感染症の脅威に対し、流石に政界でも党派の差を超え 一致協力してこの難局に当たろうとの機運が少しは芽生えてきた様だ。野党側は一応連携の上、政権与党に対し 前述感染症対策向けの臨時国会開催を求めている様だが、今秋の衆院選を控え 政権与党側は慎重な様だ。一部報道メディアが騒ぎ立てる様に、確かに臨時国会への模索が見られないのは遺憾かもだが、開いたら開いたで 野党による政治情宣的・対与党攻撃の場に利用される懸念もないではない事は理解する。
その一方 やはり国難レベルに達した前述感染症の深甚な状況と対峙して参るには、党派を超えた挙国的な動きが必要な所。それにつき、与党側の姿勢に不用意な大人数による会食など 芳しくない動きがあるのは認めるが、野党側にしても芳しからぬ所がありはしないか。例えば以下に触れる 与党公明と野党日共のやり合いとか。ここは今日付の産経新聞ネット記事を引用して、みて参りたい。
「志位氏『公明の共産攻撃はワンパターン化』」
共産党の志位和夫委員長は 8/19 の記者会見で、公明党の機関紙・公明新聞が「共産、極まる”虚言体質”」と志位氏の主張を批判した事に対し「公明党の共産党攻撃は 完全にワンパターン化した。ワンパターンじゃ もう通用しませんよ、と言いたい」と反論した。
公命新聞は 8/18 付の記事で、志位氏が 8/4 の講演で 新型コロナ・ウィルス (感染症) 対策として 1人一律 10万円の特別定額給付金といった「数々の直接支援の施策を実行させてきた」と述べたことを紹介。志位氏が挙げた家賃支援給付金や休業支援金の創設などを盛り込んだ (2020=) 令和 2年度第 2次補正予算に関し「主要政党で唯一、反対したのが共産党だったではないか」と指摘した。
さらに「これらの施策は、公明党が与党として補正予算に盛り込ませたものだ。反対までしておきながら”共産党の実績だ”と横取りするとは”盗っ人猛々 (たけだけ) しい”」などと批判した。
志位氏は記者会見で「予算はパッケージで賛否が問われる。問題があれば 部分的にいいものがあっても、反対するのは当たり前だ。そのことをもって 共産党の実績じゃないんだというのは、ずっとワンパターンだ」と主張。「私が言ったのは、紛れもなく国民、他の野党の皆さんと一緒に力を合わせて勝ち取った成果だ」と述べた。(引用ここまで)
今回の末尾に、余り好感するものでなくとも 公明新聞の前出記事をリンク致すが、「ワンパターン」と揶揄する前に 概ね事実に基づく記述ではないかと心得る。公明党の立場も 決して公正なものとは言い難いが、議事妨害レベルともいえる日共の自勢力正当化情宣のあり様は、確かにほぼ公明側指摘の通りと申して良いのではないか。
日共は、各種予算審議にしても「問題があれば部分的にいいものがあっても、反対するのは当たり前だ」の姿勢を露わにした。これは正に「一事が万事」ではないのか。これまでも、予算案にはほぼ毎回「反対」の姿勢を表してきた記憶があり、正に「反対の為の反対」を繰り返してきた訳だろう。これは昨年来の様な、前述感染症禍に際しても 何ら変わる事はなかったと申して良い。表向きは「国民の為」としながらも、結局は自党自勢力の利益を優先する「党利党略的政局の為」と言われても仕方あるまいて。
拙者、仮に 与野党間で合意に至れば、臨時国会を持つ事自体に反対ではない。しかし開会の以上は 税金を投じる事も十分留意の上、前述感染症対策にとり「何が一番大事か、絶対に落とせないものは何か」を、立場の差を超え スピード感を伴う強い姿勢と信念を持っての追求を願わなければならないはずだ。前出の様な「泥仕合」を演じている様では、到底その様な「崇高な姿勢」での 実効を伴う協議ができるとは思えない。
若手社会学者・古市憲寿さんの雑誌連載記事表題「誰の味方でもありません」をそのまま頂きたい今回ではあるが、本気で国難に立ち向かう気概があるなら 双方共、こんな些細なもめ事にエネルギーを費やす愚は避けるべきではないのか。それができないなら、我国にての「挙国一致で国難との対峙」など「千年河清を待つ」様なものだろう。今回画像は少し前、当地北郊・一宮市内の田園を行く 東海道・山陽新幹線列車の様子を。以下に、前述の公明新聞記事をリンク致します。 「10万円給付」実績横取り 共産、極まる“虚言体質” | ニュース | 公明党 (komei.or.jp)