時々電車に乗ることがある。
当地でもたまにJRに乗ることもあるが、年に一度か二度で頻度は少ない。
息子が奈良にいるので、たまに関西へ出向けば近鉄電車に乗ることが多いかな。
電車に乗っていると、相変わらず股を開いているおばさんが多い。
つい気が緩むと、あちらこちらで股を開いているおばさんが出没する。
ある時電車の空いている席に座り、ふと前を見たら50年配のおばさんが席に座っていた。
ところがそのおばさん、寝てもないのに股を開いている。
これは見てみないふりをしたほうがいいかもしれない。
と思ったのだが、ついついスカートの中をのぞいてしまった。
すると、いかにも冷え防止用のぼってりとした厚手のスカートのなかに、肌色とピンク色が混じったような不気味な色のズロースが、でーんと存在していた。
それを見たとたん、頭の中にはウェストまであるような深いパンツ。
メリヤスのシャツと化繊のスリップまでが目に浮かんでしまったのである。
早く股パックリをやめてくれないかな、みっともなくて気が気でなかった。
だからといって、わざわざそばに行って「股開いてますよ」というのも変だし、ここは何とかこちらから念波を送ってみっともない格好に気がついてくれたらとお願いした。
しかし自分にはそういう能力はないようで、おばさんは大きなあくびをしながら、堂々とパックリさせていたのだった。
「おばさんの股はなぜ開くのか」という課題を紐解くと次のようなことが分かってきた。
歳とともにだんだん内股に肉がついていき、膝をくっつけようにも肉が邪魔をしてしまう。
意識して膝をつけるようにしても、おばさんたちはすでに筋肉が緩んでしまって力が入らず、股を開いてしまうのだろう。
この際、おばさんたちに羞恥心を呼び起こさせるために、見て見ぬふりはいけないという結論に達した。
パックリと開いた股に視線を送れば、一応は女なんだから羞恥心も甦るのではないかと思ったのである。
おばさんの膝あたりを凝視した。
これで何とか気がついてくれないかと願った。
ところがふと顔を上げておばさんの顔を見たら、彼女は何を勘違いしたのか、股をパックリしたままにっこりと笑うではないか。
「だめだこりゃ…」
ドリフ大爆笑のいかりや長介のセリフである。
あきらめた自分の目には、不気味色のズロースが焼きついてしまったのであった。