はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

家の味を受け継ぐと言うこと

2015年01月07日 | 「食」についての話題
 知人のお嬢さんが昨年結婚された。彼女にとっては嫁いで初めてのお正月である。年末に会った際、知人は「30日に娘がウチに来て一緒にお節料理を作るの」と相好を崩していた。

 一瞬、あれっ?と思った。結婚したら婚家で、義両親と別居なら義両親のもとに赴いて、婚家の伝統に則ったお節料理を義母から学ぶと思ったからだ。私もそうしたから、それが当たり前だと思っていた。

 しかし、よくよく考えると、ご主人がご長男でなかったら、そうとは限らないのかもしれない。夫の弟も、妻が二人姉妹の長女と言うこともあるのかもしれないが、義弟は実質「入り婿状態」で、正月料理は結婚以来、義妹の実家伝承の料理を専ら食べており、自身の実家には正月に半日遊びに来て、実家の料理は少しつまむ程度だ。

 さらに三男坊と結婚して、遠方に住む夫の妹は、お正月は婿の実家と自分の実家を家族で訪ねて、少し台所の手伝いをするくらいで、特に自分で正月料理を作ることはないらしい。

 また、夫の父は次男だが、長兄の伯父は早くに伯母を亡くし、幼くして遺された二人の娘は市販本で料理を一から学んだらしく、以前正月に訪ねた時に食べたお雑煮は関東風で、婚家伝承の味ではなかった。

 となると、夫の実家代々の正月料理、特に家々にとって、最もその家ならではの味となるお雑煮の味を受け継いでいるのは、長男の嫁である私だけである。今回そんなことに改めて気付いて、ちょっと心配になった。私はちゃんと婚家の味を受け継げているのだろうか、と。

 結婚以来、正月には毎年欠かさず、義母から学んだ婚家のお雑煮を作っては来た。夫に毎度、味を見て貰ってもいる。それでも、義母の味には到底及ばないような気がする。

 因みに我が家のお雑煮は、鶏ガラダシと昆布ダシを合わせた醤油味。具は鶏もも肉、白菜、人参、かまぼこ、ほうれん草、そしてお餅。お餅は焼かずに煮る。庶民的な味だ。義父は早くに母親を亡くし、次男として家事一切を中学の頃から取り仕切っていたと言う。義母はその義父から、婚家伝承のお雑煮の作り方を教わったらしい。

 今さらながらに、長男の嫁としての責任の重さを感じた。ひとり息子がもし結婚せずに独身を通したら、もし結婚したしても嫁が自分の実家の味に拘ったら、夫の実家代々の味は、私の代で絶えてしまう。そうなったら、やっぱり淋しいだろうな。


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