改めて、タイトルに挙げた作品について。
昨夜『スタメン』というテレビ番組に、
本作を手掛けた周防正行監督が出演されていました。
周防監督に関しては、前作『Shall we ダンス?』や
『シコふんじゃった』『ファンシィダンス』など、
結構コミカルで後味爽やかな作風が印象に残っていたのですが、
今回はまさしく「即物的に」(映画評論家・村山匡一郎氏評)、
ひとりの無辜の人物が犯罪の加害者として
司法の場でどう扱われているのかを、
丹念な体験者からの聞き取りを元に再現して見せていました。
監督曰く、たまたま冤罪事件の報道を目にして、
本作を作ろうと思い立ったのだそうです。
昨夜の『スタメン』でも、
強姦事件の被告として3年服役した人が、
後に真犯人逮捕で、実は無罪だったことが判明したという
北陸地方のケースを紹介していました。
警察は謝罪会見を開いていましたが、
冤罪の被害者となった男性は出所後行方知れずで、
いまだに男性に対して謝罪するに至っていないのだとか。
今、その男性がどんな人生を歩まれているのか、
想像するだけで気の毒です。
日本では刑事事件に起訴された段階で
99%は有罪判決が出るのが実態だそうで、
どうも司法は「疑わしきは罰する」という姿勢なのでは?
と番組内でもコメントされていました。
因みに諸外国の有罪率は80%程度で、
90%を超えた時点で異常な数値と言わざるを得ないらしい。
日本では刑事事件で起訴された時点で、
ほぼ確実に犯罪者の烙印を押されるようなものです。
それを覆すには膨大な時間とお金と労力を必要とし、
冤罪被害者とその家族にとってはまさに神経戦の様相を呈し、
たとえ必死に戦い抜いたとしても必ず覆されるという保障はなく、
また覆ったとしても押された烙印を払拭し、
烙印が押される前の状態、生活に戻ることは至難の業なのです。
本作では、警察の取り調べのずさんさや検事の吟味の甘さ、
裁判官の「無罪判決」忌避傾向をかなり辛辣に描いていたので、
その方面へのインタビューは難しかったようです
(今回の作品で、警察や司法を敵に回してしまったかも…)。
一方的な言い分だけで映画を作ったと反論も出そうですが、
しかし、互いに面識のないはずの多くの拘留経験者の話には、
共通点が多かったと言いますから、映画で描かれたことは
案外実情に近いことなのかもしれません。
誰の身にも降りかかる恐れがあるという点で、
本作で描かれた状況はやはり看過できない多くの問題を
含んでいるような気がします。
けっして世の中心に位置するものではないけど、
少なからぬ人々を熱中させている「相撲」や「社交ダンス」
のような分野に着目した周防監督の慧眼は、本作においては、
「重大ながら見過されがちな問題にスポットライトを当てる」
ことに生かされたと言えるでしょうか?
線の細い外見とは裏腹に、気骨のある人なのかもしれません。
昨夜『スタメン』というテレビ番組に、
本作を手掛けた周防正行監督が出演されていました。
周防監督に関しては、前作『Shall we ダンス?』や
『シコふんじゃった』『ファンシィダンス』など、
結構コミカルで後味爽やかな作風が印象に残っていたのですが、
今回はまさしく「即物的に」(映画評論家・村山匡一郎氏評)、
ひとりの無辜の人物が犯罪の加害者として
司法の場でどう扱われているのかを、
丹念な体験者からの聞き取りを元に再現して見せていました。
監督曰く、たまたま冤罪事件の報道を目にして、
本作を作ろうと思い立ったのだそうです。
昨夜の『スタメン』でも、
強姦事件の被告として3年服役した人が、
後に真犯人逮捕で、実は無罪だったことが判明したという
北陸地方のケースを紹介していました。
警察は謝罪会見を開いていましたが、
冤罪の被害者となった男性は出所後行方知れずで、
いまだに男性に対して謝罪するに至っていないのだとか。
今、その男性がどんな人生を歩まれているのか、
想像するだけで気の毒です。
日本では刑事事件に起訴された段階で
99%は有罪判決が出るのが実態だそうで、
どうも司法は「疑わしきは罰する」という姿勢なのでは?
と番組内でもコメントされていました。
因みに諸外国の有罪率は80%程度で、
90%を超えた時点で異常な数値と言わざるを得ないらしい。
日本では刑事事件で起訴された時点で、
ほぼ確実に犯罪者の烙印を押されるようなものです。
それを覆すには膨大な時間とお金と労力を必要とし、
冤罪被害者とその家族にとってはまさに神経戦の様相を呈し、
たとえ必死に戦い抜いたとしても必ず覆されるという保障はなく、
また覆ったとしても押された烙印を払拭し、
烙印が押される前の状態、生活に戻ることは至難の業なのです。
本作では、警察の取り調べのずさんさや検事の吟味の甘さ、
裁判官の「無罪判決」忌避傾向をかなり辛辣に描いていたので、
その方面へのインタビューは難しかったようです
(今回の作品で、警察や司法を敵に回してしまったかも…)。
一方的な言い分だけで映画を作ったと反論も出そうですが、
しかし、互いに面識のないはずの多くの拘留経験者の話には、
共通点が多かったと言いますから、映画で描かれたことは
案外実情に近いことなのかもしれません。
誰の身にも降りかかる恐れがあるという点で、
本作で描かれた状況はやはり看過できない多くの問題を
含んでいるような気がします。
けっして世の中心に位置するものではないけど、
少なからぬ人々を熱中させている「相撲」や「社交ダンス」
のような分野に着目した周防監督の慧眼は、本作においては、
「重大ながら見過されがちな問題にスポットライトを当てる」
ことに生かされたと言えるでしょうか?
線の細い外見とは裏腹に、気骨のある人なのかもしれません。