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昨日はボランティア仲間のMさんと共に、午前中に上野の芸大美術館で開催中の『バウハウス・デッサウ展』を見て、午後はボランティア先の美術館で次回ワークショップのトライアルと例会に参加して来ました。
バウハウスとは言うまでもなく、20世紀初頭に美術・工芸・建築の分野に大きな足跡を残したドイツの美術学校のことです。後世のクリエイターに大きな影響を与えたこの学校が、実は14年間という短い活動期間であったことを今回初めて知りました。そして、その終止符を打ったのがアドルフ・ヒトラー率いるナチスだったことも。
カンディンスキーやパウル・クレーら教師の作品はもちろんのこと、学生の習作も数多く展示されていて、そのレベルの高さに驚かされます。また形態や色彩についての演習は、私自身が大学時代にデザインの授業でやらされたことに殆ど近く、私が受けた授業が実はバウハウスの指導方法を踏襲したものなのだと気づかされました。
バウハウスは教育の場であるだけでなく、作品を世に出す生産の場でもあったようで、大量生産が可能なシンプル、かつ機能的なデザインの作品が数多く見られました。それらが実際に校内の工房で生産されていたようです。今で言う「用の美」がすでにバウハウスで実現していたのですね(展示作品を見ながら、しきりと柳宗理の作品が思い出された)。バウハウス自体、ウィリアム・モリスを中心とする英国のアーツ&クラフツ運動等の影響を受けて誕生した背景がありますが、時代的に、日本で起きた柳宗悦らの民芸運動も、英国のアーツ&クラフツ運動やこのバウハウスの影響を多分に受けたものだったのでしょう。
予想以上に見応えがあり、瞬く間に2時間近くが経過しました。家具や校長室の、色彩計画、異素材の組み合わせ(当時としては画期的だったはず)、随所に見られるデザインの工夫&遊び心には目を奪われました。70年以上前の作品ながら、今でもけっして古びれていない、その斬新なデザインに、普遍的な美意識を感じます。個人的には、教師のラスロ・モホイ=ナジや卒業生で後に母校の教師にもなったマリアンネ・ブラントの作品が強く印象に残りました。
◆東京芸大美術館『バウハウス・デッサウ展』公式HP
夢中になって展覧会を見たら、思いっきりお腹が空いたので、美術館に併設の学生食堂で昼食を取りました。日替わり定食を選んでみました。ご飯にポテトコロッケと野菜サラダ、切り干し大根の煮物、そしてしじみの味噌汁。これで510円也。最初配膳のおばちゃんがごはんを山盛りによそったので、それを半分に減らしてもらいました。やはりボリューム満点なのは育ち盛りの学生向けだからか?味も全体的に濃いめ。煮物は甘みが強く、味噌汁はしょっぱい。
その後美術館へ向かい、トライアルと例会を終えると、もう5時過ぎ。電車を乗り継いで自宅最寄り駅へ。そこからはバスで20分弱のところを、徒歩で40分かけて帰途につきました。これは健康のためです。昨日は17、000歩あまりを踏破!
【ふと思ったこと】
昨日利用した学生食堂を、先日の通り魔事件で犠牲になられた武藤舞さんも利用されていたのかなと思うと、なんだかやるせなくなりました。やはりどんな事情があるにせよ、容疑者の犯した罪は重く、彼の命を以てしても償えるものではない。彼自身が、そして社会(若い世代を取り巻く環境や彼の生い立ちも含めて)が、彼の行為をどうにかして未然に防ぐことはできなかったのかと悔やまれます。
【追記 2008.6.13】ちょうど私が美術館で『バウハウス・デッサウ展』を見ていた頃、武藤さんの告別式がすぐ近くの寺で営まれていたのですね。今朝テレビでそのことを知りました。そう言えば、昨日は上野公園内で喪服姿の若い男女の姿を多く見かけました。武藤さんの告別式からの帰りだったのかもしれません。