はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

我が家のクリスマスの思い出

2012年12月22日 | お知らせ
今朝の「ワールドWAVEモーニング」で、サンタが住むと言う北欧の街の郵便局に、世界中の子ども達から28万通もの手紙が届いたと言うレポートがあった。その後、世界各地でクリスマスを家族と共に楽しむ姿が次々と映し出され、今はもう大学生の息子が小さかった頃のことがふと思い出された。

幼い頃の息子は、殆どの子どもがそうであるように、サンタの存在を信じて疑わなかった。イブの夜、寝る直前の息子はサンタの到来を待ちわびて、そわそわしていているのが傍目にもわかった。

ウチはマンションだから、きっとサンタさんはベランダから来るんだろうね。だったら、サンタさんがちゃんと部屋に入れるように、窓を少しだけ開けていようね、と冷気が入るのも構わず1cmほどベランダに通じる掃き出し窓を開け、目印の長靴下を枕元に置いてから、布団の中にもぐった。

布団に入ってからも気持ちが高ぶっているのか、なかなか寝付けない。しかし、布団の中で身体が温まって来た頃、漸く寝息を立て始めた。それからしばらく時間を置いて、私は上気した息子の寝顔を眺めながら、いそいそとプレゼントの準備を始めた。

当時はリビングに面した和室に家族3人、川の字になって寝ていたので、息子の足下に息子がかねてから欲しがっていたトランスフォーマーの変体ロボットを忍ばせ、布団で覆った。

例年、クリスマスの時期になると、ニュース番組で北欧から飛行機で来日したサンタが映し出される。息子はそれを見て、「サンタさんは遠い国から来るから、日本までは飛行機に乗って来るんだね」と自分なりに解釈しているようだった。その北欧のサンタさんの家に自分の希望の品を書いた手紙を郵送してと、いつも私は頼まれていた。もちろん、本当のサンタはこの私。息子から手紙を預かったフリをして、その内容を確かめては、デパートに行って買っていた。もちろん、デパートで購入したのがばれないよう包装にも細心の注意を払って。

25日の朝、夜明け前に、待ちきれない息子はそぉっと起き出して、プレゼントを探し始めた。私は寝たふりをしたまま、彼を観察する。ごそごそと布団の中を探って、プレゼントを発見した息子は「あった!」と呟いた。そして、できるだけ音を立てないように包みを解き、その中に希望したおもちゃが入っているのを知ると、息子は突然正座して、両手で抱えた箱に視線を落とし、「サンタさん…ありがとう」と御礼を言った。肩が小刻みに震え、少し泣いているようにも見えた。

ここまで感激して貰うと、親サンタとしては感無量だ。クリスマスの季節になると、サンタのニュース映像と共に、この時の温かな思いが蘇って来る。この件に限らず、これまで本当に息子には、親として沢山の幸せを貰った。彼の成長に一喜一憂し、思春期以降の息子は世間並みに生意気盛りで、腹が立ったことも1度や2度でないが、幼き日の息子の愛らしさ、あどけなさには、それらを帳消しにするほどの力があった。

不器用で半人前の親だが、息子には親として精一杯の愛情を注いで来たつもりだ。彼には両親以上に幸せな人生を歩んで貰いたいと、心から思う。


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