はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

”こ食”にもいろいろあることをご存知ですか?

2006年12月15日 | 「食」についての話題
今日の昼のNHKのトーク番組に、
服部幸應(ゆきお)さんが出演されていました。
氏はかつて人気を博したテレビ番組「料理の鉄人」で
審査員を務めた方ですが、
本職は栄養士や調理師を養成する専門学校の校長先生です。
そして15年も前から「食育」の啓蒙活動をされていた方。
校名を調理師-ではなく服部栄養専門学校としている点にも、
氏の「食育」への拘りが窺えます。

【参考リンク】服部幸應氏プロフィール

氏は7年前から各方面に「食育」の重要性を訴え、
それが昨年「食育基本法」制定へと結実しました。
これは見方を変えれば、法律で定めなければならないほど、
日本の食卓が危機的状況にあるということを示しています。
国民が自律的に豊かな食生活を築けないから
国が音頭を取ることになった。国の管理下に置かれたのです。

【参考リンク】「食育基本法」

番組の中で興味深いフリップが登場しました。
真ん中に「こ食」、それを囲むように
6種類の漢字が充てられた「こ」食。

個食…家族でひとつの食卓を囲みながら
      各々はそれぞれ自分の好きな料理を食べること
孤食…ひとりで食事をすること
小食…食べる量が少ないこと(極端なダイエット等)
固食…固定食、自分の好きな決まった物しか食べないこと
粉食…パン・うどん等、穀類の粉を原料とした食物を
      主食とすること
濃食…濃い味付けの料理を好んで食べること

最近、家庭科で栄養学の基礎を学んだ息子曰く、さらに
戸食(戸)外で買ってきた出来合いの料理
     (=「中(なか)食」と最近は呼ぶらしい)を食べること。 
      もしくは戸外で食べるという意味で「外食」のこと。
というのもあるらしい。
試みにネットで検索すると
子食…子供達だけで食事をすること
というのもありました。多種多様な「こ食」にオドロキ?!

服部氏は現在の我が国の食生活の問題は、
これらの「こ食」にあると指摘されました。
私なんぞ、恥ずかしながら昼は大抵「粉食」ですね。
社会人入学をした2度目の大学生活でも、
同級生の中には一人暮らしの地方出身者で、
カロリーメイトを常備していた子がいました。
上述の「こ食」の問題は、結構身近な問題なのかもしれません。

服部氏がなぜ「食育」に拘るのか?
「こ食」の何が問題なのか?
氏は「食」という字を分解して、
」とは「い」「」を作るということなのだ、
と言われました。
今、起きている人間を巡るさまざまな問題は、
ひとつには食生活の貧困が原因だと。
食生活は家庭生活の基本で、人を育てる基本であると。
だから食生活をおろそかにしてはいけないと。

(例えば、友人に聞いた話では、
ある少年院で院生に対してアンケートをとったところ、
全員が物心ついた頃から家庭でまともに朝食を食べたことがない
という驚くべき事実が明らかになったと言う。
「全員」と言うのに慄然とした。
つまり親が朝食を作らないので、仕方なしに朝食を摂らない、
或いはコンビニで菓子パンを買って食べる等して、
それまで生きて来たのである(←「欠食」と「こ食」の複合的要素が当てはまる)。
ここで深刻なのは、体の空腹感よりも心の空腹感ではないだろうか?
親に顧みられない院生達の寂しさ、悲しさは、いかばかりだっただろう?
家庭における食事は、イコール親の愛情の有無に関わってくるのだと思う。
子供たちが愛情に飢えた状態で、
どうして真っ直ぐに育つことができるというのだろう?)


「最後の晩餐には何を召し上がりたいですか?」との
視聴者からの質問には
「おむすび!」と即答された氏。
「もっとお米を食べましょう。日本人の食の基本です。」

我が家の息子は高校では部活をしておらず
(今、友人達と軽音楽部を創部しようと奔走してますが、
顧問を引き受けて下さる先生がなかなか見つかりません)、
午後5時前には帰宅します。玄関に入るや否や
「ただいま、お母さん腹減った!何か食べる物ある?」
そこで私がいつも差し出すのは「おむすび」です。
少し大きめのシンプルな「ゴマしおむすび」。
それを息子は一気に平らげると「あ~うまかった」と満足げ。
我が家では、息子が幼稚園の頃からそうでした。
おやつ、夕食前の腹ごしらえはこれで十分なんだと思う。
甘いお菓子なんて本当はあまり要らないのです。

「食育」に関しては10年近く前に、広島県福山市立女子短大
教授(当時)鈴木雅子さんの著書も読んだことがあります。
その頃、中学生の暴力事件が続発し、鈴木先生の
「乱れた食生活が産む『現代型栄養失調』が、子供の心に
影響を与えている」と栄養学者の立場から論じた研究が
注目され、マスコミでも度々取り上げられていました。
私は今でも鈴木先生を取り上げた新聞記事の切り抜きを
冷蔵庫に貼って、折に触れて読み返しています。

すっかり黄ばんでしまった切り抜き…

今日の服部先生の熱のこもったお話に、
食事を作る立場の人間(=特に子供が幼い時は”保護者”)は
責任重大
なんだなと、
改めて身の引き締まる思いがしました。


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