はなこのアンテナ@無知の知

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事故が発生して初めて知ったこと

2009年11月20日 | 気になったニュース
 日本人観光客も含め11人の死者を出した韓国・釜山の射撃場火災事故。この事故報道で、初めて釜山観光で「射撃体験」が意外な人気を博していることを知った。米国LA現地旅行社のオプショナルツアーで、射撃体験ツアーを見かけたことはある。しかし、まさか日本の近場にそんな場所があるとは…正直驚いた。世の中にはまだまだ知らないことが多いなあ…おそらく一生かかっても知り得ないことの方が多いのだろう。

 韓国は九州からは目と鼻の先だ。福岡からは釜山へフェリーで3時間弱で行ける。乗船料も往復2万円と手頃。九州の人間にとっては飛行機で東京に行くより、近い感覚ではないだろうか?私は2年前の旅行で空路釜山から韓国入りしたが、すぐに車で北上したので釜山観光はしていない(同じツアーに名古屋から参加したご夫婦は、私達家族より早めに釜山入りしたので、釜山半日観光を楽しめたらしい。ちょっぴり羨ましい…)。だから釜山の街自体はあまり知らないのだが、同様の射撃場は首都ソウルにもあるそうなので、今回の一件で改めて、今もなお隣国と国境を挟んで軍事的緊張の続く韓国と日本の違いを感じた。

 この射撃ツアーが女性の間でも人気と言うから、また驚いた。私なら近くで「射撃体験」が気軽にできると知っても行かないなあ…かなり保守的な考え方かもしれないが、女性は命を産み育む性だと思っているから、命を殺める射撃と言う行為は、女性性から最も遠い行為のような気がする。そんなことを言ったら、世界中の軍隊に数多いる女性兵士の存在を否定することになるかもしれないが、少なくとも日本人女性はそういう必要に迫られた状況にないのだから、たとえ「娯楽」と言う感覚でも、そういうことに手を染めて欲しくない。否、寧ろ、それを「娯楽感覚」で楽しむことが信じられない。

 街中の雑居ビルと言う立地で、防音重視の為か窓もない密閉空間で、出入り口もたったひとつ。別な避難経路も確保されていない、スプリンクラーさえ備えていない場所で、順番待ちの間、普段から利用客は喫煙していたと言うから、防災と言う見地からすればとんでもない状況にあったと言える。出入り口のドアは電子制御のロックだったらしいが、外からの侵入には対処していても、内からの脱出には配慮がなかったと言うこと。

 そもそもそういう場所に身を置いたのが、今回は致命的にリスクを高めてしまったのだろう。今回の事故は、普段からリスキーな条件の揃った場所に、管理者も利用者も予想しないようなアクシデントが重なって起きた。これまで利用した客は、ただ単に運が良かっただけなのだ。報道されている安全管理体制では、いつ今回の被害者と立場が入れ替わってもおかしくない現場の状況だったと言えるだろう。

 日本人が海外で事故や事件に巻き込まれたニュースを耳にする度に、海外を旅する時には「自分の身は自分で守る」意識を、日本にいる時以上に持つことの重要性を思い知らされる。海外旅行だとつい冒険心がくすぐられて、日本で体験できないことに挑戦しがちだが、日本でillegalなことは、海外でもやらない方が無難だ。未体験の状況に身を置く為、どこまでなら安全なのかの判断が自分では難しいからだ。まさに「君子危うきに近寄らず」の心がけが、我が身を守るのだと思う。私自身、かなり慎重派で気をつけているつもりだが、それでも危険とニアミスだった経験は1度や2度でない。

 今回亡くなられた長崎・島原の男性達は普段から地域の町興しに尽力するなど活躍されていたようで、ご遺族はもちろん、町の方々も深い悲しみの中におられると思う。亡くなられた方々のご冥福をお祈りする共に、今後このような事故に日本人が(日本では起こりえなかった事故と言う意味で)巻き込まれないことを願いたい。旅行社もツア-、もしくはオプショナルツアーを組む際に、利用する施設の安全管理体制を精査する姿勢が今後益々厳しく問われるだろう。

2年前の釜山。あいにくの雨空だった。 
 今回の事故を受けて、19日付サンケイエクスプレス紙は、韓国にある民間射撃場の知られざる一面を伝えている。日本の暴力団が射撃練習の為に、こうした施設を利用していると言うのである。昨年9月には約60人以上が大挙して釜山を訪れ、慶州観光の後、釜山の射撃場で射撃練習をしたとされる。これはレアケースだが、通常は1~2人単位で観光客として釜山入りして、射撃練習をしているらしい。利用の際に身分証の提示は必要ないが、「暴力団員と見られる利用者の場合、本人が所持する拳銃と同じタイプの銃を選び、1回に何万ウォンもかけて射撃練習をしている」ことから、ゲームセンターの感覚で利用する一般の観光客との違いは歴然。現地の射撃場関係者、警察関係者の間では「公然の秘密」事項のようである。そのような人々との接点を持たない為にも、こういう場所に一般人は安易な気持ちで立ち入ることは止めた方が身のためだと思う。


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