■今回のような中国の行為(2010年9月7日、尖閣諸島付近で操業中であった中国漁船と違法操業として取り締まりに当たった日本の海上保安庁巡視船の衝突に端を発した事件)は長期的に見て中国の近隣諸国との関係を悪化させる。
■そもそも中国が謝罪を求めること自体が間違っている。船長が釈放された時点で謝罪と賠償を取り下げるべきだった。
■尖閣諸島については、日中両政府が領有権を主張しているが、日本がずっと領有(in possession)してきた経緯がある。基本的に現在の状況は、日本が領有しているというものだ。
■アメリカの立場は、日中両国と良好な関係を保ちたいというものだ。アメリカは中国との友好関係を保持することを希望する一方で、日米安全保障条約の同盟国としての日本をサポートする。漁船の衝突問題や領土問題の解決には乗り出さないが(←君子危うきに近寄らず。米国外交一流のバランス感覚?)、同盟国としての日本が尖閣諸島を領有しているという事実を認識しているということだ。
■中国の国内政治は最近、国粋主義に傾いている。加えて、(リーマンショック後)世界が経済危機に陥った中で、経済的に成功したことに高いプライドを感じている。それが、国際政治において積極的な行動に出させている。
■つまり、(今回の威嚇行為は)日米関係が悪化していると見たからではなく、最近の中国の典型的な行動と言える。同様の領土問題は、尖閣諸島だけでなく、南シナ海や北ベトナムでも起きている。
■最良の解決策は、中国が賠償要求を取り下げ、日中が直接協議のテーブルに戻ることだ。そして、日中両政府が合意している東シナ海のガス田共同開発プロジェクトを開始することだ。このプロジェクトは、日中が友好関係を深めて行くために重要な役割を果たす。この当初の路線に戻るのが良策だろう。
■(「中国の権力中枢では、一体何が起きているのか?」の問いに対し)
理由はふたつある。ひとつは国内での国粋主義の高まり。ブログやインターネットの投稿、人民解放軍高官の態度にもそれが出ている。
もうひとつは、2010年に予想される指導部の交代だ。現首脳(温家宝首相や胡錦濤国家主席)は、次期指導部がトウ・ショウヘイ(故人)の敷いた注意深い外交政策を引き継いで行くことを望んでいるが、中国共産党の若い世代(習近平氏→2013〜国家主席)には、もっと強い中国を目指す傾向がある。これが表面化している。
(3)につづく