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災害大国日本における「持ち家」のリスク【再掲】

2024年09月23日 | はなこ的考察―良いこと探し
おそらく、政権与党も含めさまざまな業界の利権が絡んで、この国では実現が難しいとは思うが、これだけ自然災害が多いと敢えて声を大にして言いたくなる。 

災害大国である日本では、海岸から離れた地盤強固な平野部や丘陵地に、免震装置を備えた堅牢な鉄筋鉄骨コンクリート造の公営賃貸集合住宅を建て、そこに入居を希望する国民を居住させることが、国民の生命や財産を守ることになるのではないか?

少なくとも人口の集中する都市部(地方なら人口密集地)ではそうすべきだと思う(そうすると街並みの情緒もへったくれもないが)。

せめて、仮にそのような住宅に住みたいと言う国民の声が今後出た場合、政府は「天災対応公営住宅」の建設の検討をすべきだと思う。

今回(2014年)広島で起きた大規模土砂災害では、マンションの最上階に避難して助かった市民も少なくないようだ。NHKのニュースでは、専門家から、こうした「垂直避難」を推奨する発言もあった。逆に「異変<異臭・異音・振動>に気付いてから、戸建て住宅から車、或いは徒歩で避難する猶予はなかった」との、被災者からの声も多かった。

さらに、こうした災害で住宅が全壊・半壊した場合、持ち家の市民は、既に抱えている住宅ローンに建て替え・補修費用のローンが加わって、命は助かっても二重ローンを抱えるケースが多い。これでは子どもの教育資金、自身の老後資金等、人生設計を大きく変更せざるを得なくなる。

しかも、戸建ては費用の工面さえできればOKだが、分譲マンションとなると区分所有という複雑な権利関係で、補修も建て替えも、必要な住民の合意が得られず難航するケースが多い。まさに"持ち家リスク"である。

だからこそ、富裕層はともかく、大多数の庶民には公営の良質な賃貸集合住宅の供給が必要だと思う。

仕事を求めて地方から都市に人が流れるのは、世界的な傾向である。日本も例外ではない。しかも日本は高度経済成長期以降、国策として国民に「持ち家」を推奨し、住宅建築を促進させて来た

約1万点の部品で作られる自動車と並んで、住宅建築は住宅産業はもちろんのこと、住宅取得に伴う家電製品、家具の買い換え等、他産業への経済波及効果が高い。庶民が組む住宅ローンも銀行等の金融機関をさぞや潤わせたことだろう。経済の活性化にはお金の循環が必須である。国民は自家用車を買い、自宅を買うことで、日本経済の発展に大きく貢献して来たと言える。

しかし、ただでさえ狭い国土で、住宅建設に適した平野部は限られている。そこでデベロッパーは山間部を切り開き、宅地造成して、無理矢理住宅地を拡大させて行った。特に新たな土地の取得を必要とする地方出身者の戸建て志向(もしかしたら、それは植え付けられた戸建て"幻想"なのかもしれない。戸建て住宅所有は、そもそも土地に余裕のある田舎の発想ではないか?)もあって、住宅地は元は山だった郊外へとどんどん広がって行った。それが、近年目に見えて増えている集中豪雨による、住宅地の土砂災害のリスク増大に繋がっているとも言える。

今後も相次ぐであろう大災害に、果たして「日本の国力」は、国民は、どこまで耐えられるのだろう?

近年は世界的な異常気象で、各地で干ばつや集中豪雨で大きな被害が出ている。また、海水温の上昇によりサイクロン、ハリケーン、タイフーンの勢力も年々拡大傾向にある。

日本も例外ではなく、特に山間部での集中豪雨による大規模土砂災害や竜巻災害が、相次いで起きている。先述の広島市内の集中豪雨による大規模な土砂災害では、90人近い死者・行方不明者が出た。

今や日本のどこに住んでいようと、災害に無縁ではいられないのだ。

さらに"天災"と言う大枠で考えるならば、この30年の間に、阪神・淡路大震災(1995年、死者・行方不明者6,437人)、新潟県中越地震(2004,死者68人)、新潟県中越沖地震(2007年、死者15人)、岩手・宮城内陸地震(2008年、死者・行方不明者23人)、そして、2011年の東日本大震災(死者・行方不明者19,000人以上)と、二桁以上の死者を出した地震だけでも4回起きている。1人でも死者が出た地震となると、実に15回も発生している

地震年表を見れば、日本が世界でも類を見ない地震発生国であることは一目瞭然である。因みに過去の記事を調べて見ると、2007年時点の記述で「ここ10年間に世界で発生したマグニチュード6.0以上の地震の20%が日本で発生している

これだけ日本各地で災害が相次いでいるのに、自分だけは大丈夫とはとても言えない。日本国民は「いつ何が起きるか分からない」「いつ何が起きても不思議ではない」と言う覚悟を持って、一日一日を生きるしかないのかもしれない。

政府は、その国民の生命と財産を守る減災の観点から、抜本的な住宅政策の見直しを検討する時期に来ているのではないか?

(了)
(初出 2014年8月22日、加筆修正の上、再掲)

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