はなこのアンテナ@無知の知

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日本の住宅事情と震災被害

2007年07月23日 | はなこのMEMO
 今回の新潟中越沖地震でも寝室に置いた家具が転倒してケガをした人がいた件について、「過去の経験から学んでいないのでは?」という私の指摘に対し、日頃から親しくさせていただいているAOLerのお一人から「日本の住宅事情では寝室に家具を置くのもやむを得ないのでは」とのご意見をいただいた。

 ザッと調べた限りでは、ひとくちに日本の住宅事情と言っても地域差が大きい。まず都市部と地方で、或いは所得格差等で、持ち家率(平成12年度)が異なる。因みに都道府県別では高い順(単位%)に富山82.2、秋田78.6、三重78.6、福井76.8、山形76.5、逆に低い順では、東京44.4、大阪52.9、福岡54.3、北海道55.0、神奈川・沖縄55.8となっている。

 持ち家率の違いは、定住人口の流動性の多寡を意味していると言えるだろうか?持ち家率の高い地域は比較的人口の変動が少なく代々その土地に住む人間で占められているのに対し、低い地域は都市部を中心に外部からの定住者の流入が著しい地域が多い。実は持ち家率は、住環境の重要なファクターである「延べ床面積」とも関係している。

 住宅の平均延べ床面積の全国平均は88㎡だが、都市部の東京59㎡、大阪67㎡に対し、住宅持ち家率の高い富山は151㎡、秋田は135㎡と、最大の富山と最小の東京では3倍近い開きがある。と言うのも人口密集地である都市部では集合住宅が多いのはもちろんのこと(東京は67%が集合住宅)、持ち家率の低い都市部では狭小な賃貸住宅も多いからである。延べ床面積の小さい都市部の住環境は、イコール居住スペースの小ささを意味しており、寝室にタンスを置かざるを得ない状況も想像される。今回の新潟県中越地方はどうなのだろう?

 とは言え、やはり寝室にタンス等の家具の設置は危険である。阪神・淡路大震災の経験者から直接聞いた話では、6段チェストがソファにドーンと乗っかったくらいの衝撃であったと言う。関東で懸念されている直下型では、防災対策用品として広く普及している「つっぱり棒型」の家具固定具はあまり意味がない。強いて言えば、壁と家具をビス留めするような固定金具がまだマシだろうか?そもそも建物基礎部分に設置する免震装置も横揺れに対する衝撃吸収はできても直下型には対応できない。

 ママ友達のご実家は阪神・淡路大震災で被害の最も大きかった神戸市長田区で、倒壊は免れたものの1階と2階を繋ぐ階段がスッポリ抜け落ちたそうだ。慌てて2階の部屋から飛び出したお姉さんは危うく転落しかけたのだとか。結局親族一同、2カ月間も学校で避難所暮らしをされたらしい。この方はご親族も何人か亡くされている。危険を回避できるのであれば、「過去の経験」から私達は学ぶべきである。偶然見つけた以下のリンクのブロガーは、阪神・淡路大震災以降、寝室にはベッドしか置いていないそうだ。

もし震度6~7の地震が起きたら

 自分自身の反省も含めて、私達はモノを持ちすぎなんじゃないか?例えばタンスの肥やしになっている服はないのか?最近夫にも促されて、自宅の不要品の処分をしている。コレがなくても生活できる~自分の生活で「実は不要なもの」がとても多いような気がする。人生何が起きるか知れないから、できるだけ身軽な方がいい。本当は持ち家すら重荷に感じることがある(現実は長く住める、適度な広さの良質な賃貸住宅が見つからないから買ったのだが、住宅ローンや固定資産税の家計への圧迫や購入価格に比してかなり低い現在の資産評価にはウンザリ)

 震災の辛いところは、社会的階層差がそのまま被害の格差に繋がっていることだ。神戸の新築のマンションは半壊で実質住めない状態になったのに、芦屋の築60年を超える日本家屋(立派なお宅です)は構造駆体部分に殆ど被害がなかった。お金をかけてきちんと建てた伝統建築の家は震災をものともしなかったのだ。神戸では老朽化した文化住宅の倒壊で、その下敷きになって亡くなられた方が多かったのとは対照的である。
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