はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

今日も上野だったんですが…

2014年12月09日 | はなこ的考察―良いこと探し
今日は90人の児童を2つのグループに分け、それぞれにトークを実施しました。45分のトークを、インターバルを殆ど置かず2回続けて行ったので、ちょっと疲れました。子ども達にしても、90分間のうち、前半と後半に分かれてトークと企画展鑑賞をそれぞれ行ったので、集中力を維持するのは大変だったと思います。

面白かったのは、トークを終えて帰る間際、多くの子が美術館は楽しかったと口々に言っている中、私が担当したグループのひとりの女の子が、「私は美術館みたいな場所が大っ嫌いなの」と発言したこと。どうして?と尋ねると、「静かな場所が嫌い。苦手」との返事。傍らにいた男子が「うるさい場所がすきなんだよな。お前。モールとかさ」と口を挟むと、「そうだよ!(それが何か?)」と口を少し尖らせて見せました。

でも、嫌いという割には、その子は作品を見て、回数こそ少ないものの自分なりに感じたことをちゃんと発言していたのです。作品をしっかり観察しないと出て来ない発言でした。どんな感想を抱いたにせよ、それだけでも、彼女が今日、美術館に来たことには意味があったと思います。

また、トーク中盛んに発言した女の子は「私はやっぱり日本画の方が好きだな。日本画の色の優しいところ。西洋の絵はあまり好きじゃない。絵の具とか、日本の方が好き。」と率直な感想を述べてくれました。

そもそも、小学生の段階では行動範囲もまだ限定的で、興味関心の幅も親の嗜好に依拠するところが大きいでしょう。

親が美術に関心がなければ、家族で美術館に来ることもないはずです。だからこそ、スクール・ギャラリー・トークの存在意義があるのだと思います。

真の教育とは、児童生徒の世界観を広げてあげることです。それまで知らなかった世界を見せてあげる、体験させてあげることだと思います。見ないことには、体験しないことには、それが好きなのか嫌いなのかさえ、子どもには判断できません。もしかしたら、単なる食わず嫌いだった、と言うこともあり得ます。

パキスタンの一部の偏狭なイスラム教徒が女子生徒への教育を頑なに拒むのも、女性が教育を通して世界観を広げることが、彼らの将来的な脅威になると考えているのでしょう。子どもを産み育てる性である女性が豊かな世界観を持つことは、子どもの教育にも大きな影響を与えるはずです。

教育は、"ひとりの人間の人生を豊かにする目的で行われるのであれば"、素晴らしい成果を上げるでしょう。

その意味でも、今回、パキスタンのマララさんがノーベル平和賞を受賞したことには、大きな意義があると考えます。
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