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この映画はゾンビ映画の巨匠、
本家本元ジョージ・A・ロメロ監督久々の登場ということで
(↑78年公開の『ゾンビ』はその後のホラー映画に多大な
影響を与えたと言われている)、
近年のゾンビ映画とは一線を画す内容となっている、
というのが一般の映画評。
近年のゾンビものと言えば、『バイオ・ハザード』や
『28日後・・・』、そして『ゾンビ』のリメイク版
『ドーン・オブ・ザ・デッド』(未見)などが有名ですが、
どんな違いが見られるのか?
もちろんロメロ監督の創造力は尊敬に値する。
死んだはずの人間が朽ち果てた姿で立ち上がり、
無感情で無差別に人間を襲い、人肉を貪り喰う。
こうしたキャラクターの登場は、『ゾンビ』公開当時
相当の衝撃であったに違いない。
今回は米国全土にゾンビが溢れ、かろうじて生き残った一部
の人間はと言えば、川の三角州のような場所で、高層タワー
に住む富裕層と地上で這いつくばるように生きる貧民層とに
二極分化した、いびつな階級社会を築いている。
時折傭兵が巨大な装甲車に乗って郊外へと出かけ、
至近距離でしか襲うことのできない・武器を持たない
ゾンビを情け容赦なく銃火器で殺戮する。
傭兵のリーダー格の男性が、そうした自分達人間の傲慢さに
疑問を呈するところがミソだろうか?
冒頭の殺戮描写は、自らの論理で敵とみなした者には
情け容赦なく攻撃を加える今の米国のありようへの皮肉だ
との指摘もあります。
確かに、感情を持たないゾンビがただ本能のままに人肉を
貪り喰う姿も恐ろしいものだけど、
温かな感情を持っているはずの人間が
冷徹にゾンビを殺戮する姿はより残虐に映る。
近年のゾンビ映画が、
ゾンビの進化を動きの敏捷性で表現したのに対し、
今回の映画は、あたかも猿人が火を使い始めた時のように、
あるゾンビの勇気がゾンビ社会に革新をもたらす様を描いて、
その進化を表現しています。
その辺り、やっぱりゾンビというキャラクターを創出した
ロメロ監督の、他者との格の違いを感じる。
この映画を見た直後、ハンバーグや血のしたたるステーキは
とてもじゃないが食べられませんね(>_<)。