はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

(39)試写会『自虐の詩(じぎゃくのうた)』

2007年10月05日 | 映画(2007-08年公開)

阿部寛演じるイサオの「ちゃぶ台返し」は、本作の見どころのひとつ?!

堤幸彦監督は、公開中の『包帯クラブ』、本作と精力的に活動していますね。
昨年の渡辺謙主演の『明日の記憶』もそうでしたが、
人の心に寄り添うような、見終わった後に心が温かくなるような作品を次々と手掛けています。

本作の主演は中谷美紀(ケイゾク、嫌われ松子の一生)、阿部寛(トリック、結婚できない男)。
脇を固める俳優陣も個性豊かで、それぞれの持ち味を発揮。

中谷美紀は、『嫌われ松子の一生』でのエキセントリックな演技の印象がいまだ強く、
本作のヒロイン幸江の、夫イサオへの一途な思いも、
「嫌われ松子」にどこかオーバーラップするところがありました。

ちょっとしたことでちゃぶ台はひっくり返すし(食べ物がもったいない(T.T))
毎日働かずにブラブラし、パチンコに負けては幸江にお金をせびる
”現在の”イサオを見た限りではとんでもない夫に見えますが、
物語が進み、夫婦の”過去”の経緯が明らかになるにつれ、
彼が幸江にとってかけがえのない夫であることが理解できるようになります。

イサオを演じる阿部寛(通称”阿部ちゃん”)は本作で、
3通り(ヤクザ時代、ヤクザから足を洗った頃、現在)の彼を見せてくれます。
現在のパンチパーマの彼もインパクト強烈ですが、ヤクザ時代の彼も必見(笑)。
やっぱりパロってる?一粒で三度おいしい?!阿部ちゃんです(笑)。

脇を固めた中では、遠藤憲一が、まさに”自虐”的な幸江への献身で
愛すべきキャラクター「あさひ屋のマスター」を好演して印象深い。
他にアパートのオーナー?を演じるカルーセル麻紀のおばちゃんっぷりも良いですね。

舞台が東北の気仙沼と大阪の通天閣界隈、というのも味わい深いなあ…
通天閣は今年の5月に行ったばかりなので記憶に新しい。また行きたくなりました。

よく見ると、本作に登場するキャラクターは皆、ブザマで自虐的、
格好良い人なんてひとりもいやしない。しかし、なぜか愛おしく感じられる。
自分の中に彼らと同様の弱さ、みっともなさがあることに気付かされると同時に、
人間の強さ、優しさ、健気さを、彼らの生き様に見ることができるからでしょうか?
ちょっと風変わりだけど、夫婦愛と友情と人情を描いて、後味”まろやか”な作品です。

他の作品はさておいても本作は映画館で、と言うほどでもないですが…
そこは、「中谷美紀の熱演」や「阿部ちゃんの3変化」を見たいか、
或いは「業田良家原作漫画の熱狂的ファン」であるか、に係ってくると思います(笑)。
ただし原作(特に小説)の熱狂的ファンの場合、
自分の中で作品に対するイメージが既に出来上がっているので、
映画化作品への評価は辛口になりがちですが…果たして本作はどうなのでしょう? 

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