はなこのアンテナ@無知の知

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失言

2008年02月08日 | 日々のよしなしごと
 何やら歌手の倖田來未の失言が物議を醸しているようだ。新アルバムの販促キャンペーンの一環で、1日パーソナリティを務めた深夜ラジオ番組での失言らしい。

 確かに「35歳以上の妊婦の羊水は腐っている」という発言自体は思慮を欠くもので、少なからぬ人々を傷つけたのかもしれない。しかし彼女位の年代の女の子の認識は、程度の差こそあれこんなものじゃないのって感じがしなくもない。普段の生活環境からして正しい医学知識を得る機会は殆どないだろうし、まだ遊びたい盛りで結婚や出産について深く考えることもないのだろう。

 飛ぶ鳥落とす勢いの(個人的にはもうピークを過ぎたんじゃないかとは思っている)歌手倖田來未が、電波上(公の場)で言ってしまったのがマズかっただけの話だと思う。街中で同世代の女の子達が同様の話をしたとしても、それを耳にした大人は「何バカなことを言っているんだか…まったく」と一笑に付すだけではないか?(仮に自分が今35歳以上の妊婦だったり不妊治療中なら、内心グサッと来るかもしれない。しかし同時に「こんな小娘に何がわかる」と毅然としたいとも思う。無知蒙昧から来る失言に振り回されるのはやっぱり悔しいから。一方で次のような意見も⇒「羊水は腐らないけど…リスクは高まる(産経新聞ゆうゆうlife編集長)

 よくよく話を聞いてみれば今回の失言は、「最近結婚したマネージャーにできるだけ早くお子さんが授かりますように」という文脈の中で語られたもの。それがアフターケアの不味さもあって失言だけが一人歩きした形だ。まあ、政治家をはじめとする公人、有名人の失言問題は大抵それが語られた「文脈」から離れて、「失言」だけが取り沙汰されるものではあるけど。ただし、政治家と倖田來未とではその重みが違う。前者のケースでは「根本の思想」が垣間見えるのに対し、後者は単なる「認識不足」が露呈したに過ぎない。

 そもそも「エロかっこいい」を標榜する倖田來未に、誰が「知性」や「見識」を期待しているのだろう?私がもし今回の失言をリアルタイムに聴いていたとしたら、「またバカ言っているねえ」とやり過ごしたと思う。とは言え、倖田世代、特に彼女のファンには影響が大きいかもしれないから(その話を真に受ける可能性も否定できない)、ラジオ局はきちんとフォローすべきだったと思う。聞けば生放送ではなく録音放送だったらしいから、編集段階で失言部分もカットできただろうに。その意味では今回の騒動はラジオ局側の責任も大きい。

 今回の一件も例によってマスコミが騒ぎ過ぎ。これだけ騒がなければ深夜ラジオを聴かない私など、この件について知る由もなかった。どうやら一部ネット上で取り沙汰されたのがきっかけらしいが、例えば「脳内メーカー」のような楽しい話題ならともかく、こうした個人攻撃のようなネガティブキャンペーンもどきに煽られるのは馬鹿馬鹿しくないかい?結局「我が世の春」を謳歌する倖田來未(見方によっては舞い上がった状態?、浮き足だった状態?)に冷水を浴びせようという意図がミエミエだもの。ただ彼女は今回の一件で、自分の立ち位置を冷静に見つめ直すことができたのではないかな?災い転じて福となすか否かは、彼女の今後の生き方次第だろう。

 しかし、こんなバッシングのパターンが常態化したら、日本は「物言えぬ不自由な国」になってしまうかもしれない(誰だって失言のひとつやふたつあるよね。結局一部ネット人は自分で自分の首を絞めているようなものではないか?)。私は何よりそのことを恐れる。
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