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昨日、バスは行楽や買い物帰りの乗客でそこそこ混雑していた。運悪くギリギリで座れなかった夫。
諦めてバスの後方部分に立っていると、始発から2つ目のバス停に到着する辺りで、背後から声をかけられた。
後で聞くと、浅黒い肌の小柄な若い男性から、「おじいちゃん、座ってください」と言われたらしい。
生まれて初めて「おじいちゃん」と呼ばれ戸惑いつつも、せっかくの申し出なので素直に受け入れ、席に着いた夫。
私はその一部始終を少し離れたところから見ていた。
夫に席を譲ってくれた奇特な若者を改めて観察すると、ルイ・ヴィトンのモノグラム総柄のブルゾンを身に纏い、足元はグッチのスニーカー。本物なら数十万円はするであろう代物。
以前、全身ヴィトンで固めた香港マダムや中国人留学生娘を観光地で見かけたことはあるけれど、まさか我がダウンタウンのバスの車中でアジアの富裕層?を見かけようとは想像だにしなかった。
目上の人間に対する畏敬の念と、サポートが必要な人々に対する思いやりを備えている異邦人の若者。
最近そういう若者を身近で目にする機会が滅多にないので、新鮮で印象的だった。
都会では絶滅危惧種なのかもね。
例えば地方で電車やバスに乗ると、優先席に座る若者はまずいないと言うか見かけない。もちろん、優先席で寝たふりする子もいないし、優先席でなくても譲る子がいる。
地方の若者は身近に祖父母がいて、幼い頃から祖父母やその世代と親密な関係を築いているからなのだろうか?
もちろん全員が全員そうだと言うわけではないけれど。
とにかく都会は人の数が多過ぎて、いちいち他人に構っていられない精神的余裕のなさが都会の人間にはあるのかもしれない。1人の人間がマトモに対処出来る対人関係の許容量(キャパ)を遥かに超えているのは確か。