はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

ちょっと腹が立ったけれど…

2020年05月31日 | 日々のよしなしごと
 運動不足解消の為、緊急事態宣言中は在宅勤務で、かつ溜まっていた年休をここぞとばかりに消化していた夫と共に、週3の割合で夕刻近くに自宅周辺を小1時間散歩していた。

 そこでしばしば見かけた光景が、とあるバス停で駅に向かうバスを待つ老女の10人程度の集団であった。

 親しげに談笑しているので、全員知り合いのようだ。サークル活動か何かの帰りなのだろうか?平常時ならともかく、新型コロナ流行で緊急事態宣言が出されている中、危機感のない集団だなと思った。

 だいたい、この集団が市中の中型バスにいちどきに乗り込んだら、車内は一気に「過密」状態に陥ってしまうだろうに。

 最近、欧米では日本の新型コロナによる死亡者の少なさが話題になっているらしいが、欧米の死亡者で特徴的なのは、老人介護施設でのクラスター発生による死亡者が多いこと。

 新型コロナは世代別に見ても、高齢者の死亡率が格段に高い。加齢による身体の脆弱化でウィルスの攻撃に耐えられないのだから、当然と言えば当然だろう。

 日本の高齢者施設でのクラスター発生が少なく、死亡者数も抑えられているのは、偏に施設が家族ですら面会を制限し、外部からの人の侵入を必要最小限に留めて、リスク回避に努めているからだ(逆に、病院での院内感染による死亡例は少なくない)

 また、都市部には核家族や単身世帯が多く、感染症弱者である高齢者が、活動的な若年層の不顕性感染者と接触する機会が少ないこともある。
 
 しかし、高齢者が感染したら重症化しやすい。先日、テレビのニュース番組で、病院でのコロナ患者の治療光景を見たが、ひとりの患者に医師、看護師らが5~6人かかりきりで治療に当たっていた。これでは人手が足りなくなるのも当然だ。

 新型コロナに感染し、回復した人の話を伝え聞いたところでは、軽症や中程度の症状と言われるレベルでも、呼吸するたびに肺をガラスの破片で突き刺されるような激痛に襲われるとのことであった。最近の報道では、米国で回復者の3割に内臓疾患や血栓などの後遺症も見られると言う。

 しかも現時点では、新型コロナ感染で入院すると、本人は治療中に親族と面会できず、親族は本人の死に際して対面での別れも叶わない(最近は、新型コロナ対策で、一般病棟も面会禁止のところが多い)

 件の老女の集団は、自分がコロナに感染した時のことに想像が及ばないのだろうか?

 安易に集会すれば、自分たちがクラスターになるかもしれないとは考えないのだろうか?

 しかし、老女の立場になって考えてみると、新型コロナ感染予防の為に行動自粛することに、自分の残り少ない人生でやりたいことを我慢してまでの価値が見い出せないのかもしれない。それは咳こむほど体調がすぐれないのに外出する高齢男性の無謀さにも通じる、高齢者ならではの刹那的な行動性向のような気がしないでもない。

 批判覚悟で言えば、新型コロナによる死者の多くが老人であることは、生物の命の終わりの「順序」としては間違っていない。これがもし仮に死者の多くが乳幼児であれば、まさに人類存亡の危機で、世界は今以上に混乱を来すだろう。

 (本来ならば必要最小限の外出に留めていただきたいところだけれど)この際、世間の空気を読まず、自分の欲望のままに動く(←加齢により脳の前頭葉の働きが鈍くなるのが原因らしいので仕方ない)高齢者を、非難の眼差しで見るのは止めようと思う。
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