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news commentary

梅雨入り前の感傷

2024-06-01 21:54:16 | 政治

このところ失笑させられることが多い。たとえば北朝鮮が韓国に飛ばした"風船爆弾“。大型の風船に廃棄物や汚物を結び付けて、北朝鮮国内から38度線を超えて韓国領内に送った。飛んできた風船の荷物の廃棄物から細菌やウイルスが出てきたという報道は今のところない。卵をにくい相手に投げつける憎悪の表明の国際版だが、双方の憎悪が高まれば、廃棄物・汚物が銃弾・砲弾に代わる可能性がないわけではない。韓国と北朝鮮は38度線をこえて、宣伝用印刷物などを相互に風船で飛ばし合ってきた。ある意味で毎度のことの延長線上の行為である。別の意味では、いいおとながこどもだましのような侮蔑の交換をしていることに唖然とする。政治というものはそんなにこどもっぽいものなのだろうか。

米国ではバイデン現大統領を相手に、11月の大統領選挙をあらそうトランプ前大統領の不倫口止め料に関連する裁判で、陪審員がトランプ氏に有罪の評決をした。このコラムの筆者が若いころには、米大統領はWASPで、離婚歴がないことが当選の条件とされていたが、この半世紀で米国社会の雰囲気はだいぶ変わってきたようだ。トランプ氏が元ポルノ女優を相手にした不倫は事実であり、彼女に口止め料を支払ったことも事実である。その支払いの手続きに違法性があったことが今回の裁判の焦点だった。その裁判の有罪評決を魔女狩りだの、腐敗した判事の策謀だと公言し、真の評決は11月の大統領選挙で国民が出す、とトランプ氏は支持者に語りかけた。米国から太平洋で隔てられた日本に伝わってくる断片的な情報から判断すれば、トランプ氏は歴代米国の大統領の中でも知性を研磨することの少なかった1人であるように見受けられる。考え方は自己中心的で、自らの存在を異様に増幅して認識している張子の虎のようなものである。トランプ氏が前回当選したとき、「核のフットボール」とよばれる黒いカバンをどうやってトランプ氏の目につかないようにするか、という議論があった。彼は情緒不安定な人物であると、米国人の半分が考えており、残る半分は彼こそ最高の大統領であると信じている。第2次大戦後の米国の外交政策にはベトナム戦争を始めおかしな点が多々あったが、その自己中心的な米国民衆の錯乱がトランプ氏の周りで渦を巻いている。これは止めて留められるようなものではい。静まるまで待つしかないのだが、その時まで、世界の情勢が小康状態を保てるかどうか、不安がある。

日本では、自民党の岸田首相が公明党の山口代表、日本維新の会の馬場代表と会談、今の国会で政治資金規正法の成立させるために妥協した。次の総選挙で自民党が惨敗する可能性があり、その時は自民・公明・維新で連立政権を組み、政権内部でおいしい思いをしようと計算しているのであろう。クリーンな政治は大切だが、まずは権力の座を狙うのが、政党が目指すところであるという、伝統的な政治学が教えるところだ。その代わりにといってはなんだが、有権者諸君は定額減税で夏休みをお楽しみあれ、というのが岸田首相の思い付きである。

   世の中をなににたとへむ朝ぼらけ漕ぎゆく舟のあとのしら浪 (拾遺集)

 

(2024.6.1 花崎泰雄)

 

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