今週末の1月13日土曜日は台湾総統選挙の投開票日である。民進党の頼清徳氏が、一歩リード、国民党の侯友宜氏と民衆党の柯文哲氏が追っている。世評ではそういう観測が流れている。
朝日新聞の1月8日付朝刊が総統選挙の特集を組み、状況を伝えている。これといって息をのむような驚きはないが、小さく添えられた「有権者の関心事は?」という豆データが面白かった。昨年12月6日に発表された台湾メディア『鋒燦』の調査データである。①調査対象者の74パーセントが「経済」に関心があると答え、②42パーセントが「内政」、③中台問題と答えた人は39パーセントだった。
2023年は中国がいつ台湾に武力侵攻するかで米国発(主として米軍筋)の情報が世界を駆け回った。そらきたとばかりに、日本の防衛筋は自衛隊を南西にシフトさせ、アメリカから兵器を買うための予算増を発表した。朝鮮戦争を機に日本の戦後復興が軌道に乗り、ベトナム戦争が韓国経済を加速させたという朧げな記憶をたよりに、台湾危機でひと儲けし、それが右肩下がりの日本経済のためのカンフル注射になればなあ、と淡い期待を持つ資本とそのとりまきの政治家が「台湾有事は日本の有事」と騒ぎ出した。「ドナルド・トランプはアメリカの民主主義の破壊者だ。アメリカの民主主義が壊れると、日本の民主主義も崩壊する」などとうわごとを言う政治家は日本といえども少ないだろう。票も寄付もふえないから。
それを思うと、「まず経済、次に内政、それから台中問題」とする台湾市民のさめた感覚が新鮮に感じられる。習近平の時代はやがて終わる。それまでは大陸の情勢を注視し、めったなことでは妄動せず、彼が去るのをしばし待て、という気分なのだろう。
去年から中国ロケット軍の汚職騒ぎが伝えられてきた。直近のニュースでは(アメリカ発の情報だが)ロケット軍はロケットに燃料ではなく水を注入し、軍費を私していた疑いがもたれているとのこと。水鉄砲では台湾に攻め込めない。
(2024.1.8 花崎泰雄)
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