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ドレスコード

2010-02-13 21:33:24 | Weblog
日本からカナダ・バンクーバーのオリンピックに行ったスノーボードの国母和宏が、成田からバンクーバーに向かったさい、ズボンをずり下げた「腰パン」スタイルだったと、騒ぎになった。それも、私服ではなくで選手団の公式ブレザーを“着こなし”ていたときのことだった。

国母は大学に籍をおくプロのスノーボード・ライダーだ。金儲けのために観客の受けを狙ってあれこれ服装に工夫を凝らしてきたのであろう。スケートボードやスノーボードは腰パン“あんちゃん”の雰囲気がただよう遊びなのだ。ドレスコードにうるさい日の丸五輪選手団に入ったのが間違いだった。

昨年の事業仕分けでJOCが要求していた選手強化費など30億円余が補助金削減の対象になった。新聞報道によると、仕分け人が、そもそも五輪は参加することに意義があるのではないか、とか、ボブスレーなどマイナーな冬季競技を支援する必要があるのか、などJOC関係者に詰め寄ったそうだ。バンクーバーでメダルを稼がないと、次の事業仕分けで、さらに補助金が値切られる、と危機感を抱き、ドレスコードいうものの存在を知らない子までメダル稼ぎの足しに連れて行った。JOCの身から出たさびでもあった。

スノーボードも腰パン(アメリカではsagging pantsなどという)もアメリカが発祥の地だ。腰パンのあのスタイルは刑務所の囚人ファッションから流行りだしたものといわれている。(BBCで写真をどうぞ)。2007年ごろには、公衆に不快感や恐怖感を与える、との理由で、アメリカでは腰パンを禁止する法律を作った自治体も出た(詳しくはそのころのニューヨーク・タイムズ紙で)。

バラク・オバマがアメリカ大統領候補として運動を進めていたころ、さるメディアのインタビューで、腰パン禁止法についてどう思うかと質問されたことがあった。オバマ、答えて曰く。「腰パンを案じる役人には真の問題がどこにあるのかについての探求の方にもっと時間を使ってもらいたいものだ。一方、こうも言ってやりたいね。よう、兄弟、ズボンをひきあげようぜ」

カナダのバンクーバーはアメリカ合衆国のすぐ隣町だが、幸いにして腰パン禁止法はなかった。それにしても、巨大な国際社交場であるオリンピックに、腰パンで参加とはいい度胸だった。次は金太郎の腹掛け一枚でのお出かけをおすすめする。ところで、中国では「露股装」というのが流行っている。グーグルでどうぞ。

    ゆるふんの五輪選手も機内ではちゃんと締めますお座席ベルト (閑散人)

(2010.2.13  花崎泰雄)




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