ヨミドクターに、『総務省の調査によると、2015年に全国で救急搬送された人は
過去最多の約548万人。心肺停止だった約12万人に限ると、
70歳以上が7割超だ。その多くが救急搬送で命をとりとめても、
元の生活に戻れていないのが実情だ。自然な最期を望む高齢者が増える中、
「本人や家族の意向が分からないまま過酷な処置をするのはつらい」と明かす救急隊員もいた。』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161107-OYTET50014/…
同居していた義理父、義理母、実家の父を天国におくった経験から
「最期まで自分らしく生きることが出来る佐倉市」を公約に掲げています。
自分らしく最期を迎えるために知っておきたいこと、考えておきたいことは事前に整理し、家族や
身の回りの人と共有したり、紙面に残しておくことが必要と考えています。
人生の最終段階の医療について何度か議会質問しています。
◆11番(橋岡協美) 2025年、団塊世代が後期高齢者になる年までに国が病院のベッド数を最大20万床減らし、
在宅医療を推進する方針を打ち出し、地域医療構想では、印旛地域で日に7,000名の
在宅医療の必要数が見込まれています。大病院を中心とした医療体制から、地域を中心とした、
より身近で安心できる医療体制へと変化が求められています。
26年6月議会で質問しましたときの執行部答弁の中に、
市民の方が、どこでどのような医療や介護を受けたいのか、また、どこで最後を
迎えたいのかを考え、整理するきっかけをつくることができるよう啓発方法について検討すると
ありました。その具体的な啓発内容について伺います。」
◆福祉部長(井坂幸彦) お答えいたします。
千葉県が作成したDVDとリーフレットを使わせていただきまして、これまでに
市民カレッジや地域の出前講座において利用させていただいております。
在宅療養を支える職種や利用できるサービスの説明のほか、その人らしい最後の迎え方等
について、本人と家族が話し合うことの重要性等について、啓発をさせていただいたところでございます。
以上でございます。
◆11番(橋岡協美) 市内で在宅医療について尽力してくださっている宍戸先生が、
医師会のホームページに短くまとめたものもございます。こちらも使えると思いますので、
参考のために申し上げます。
エンディングノート、また南魚沼市社協のライフデザインノートについては、
既にさきの議会でご紹介いたしましたが、医療機関での事前指示書の存在は、
まだ認知が進んでいない状況です。
平成24年の県民意識調査では、医療の決定に関する指示を書面で示していくことについて、
4割の人が示したいと答えているにもかかわらず、終末期医療に関する意思表明書式は、
ほとんどの人が用意していないという状態でした。
千葉県医師会で作成した事前指示書は、医師会のホームページからダウンロードできるように
なっています。では、他自治体はどのように取り組んでいくかということで、
須坂市の配布資料のように、生前の意思表明書を作成し、希望者にも配布し、
ホームページからダウンロードできるようにしています。佐倉市では人生最終段階の医療事前指示書について、
どのように周知していくか伺います。
◎福祉部長(井坂幸彦) お答えいたします。
ご紹介いただきました事前指示書でございますが、市内の病院では、
現在のところはほとんど利用されていないというのが現状でございます。
本人が延命治療を望まない場合でも、ご家族が望まれるケースや、
ご本人が拒否されていても延命治療を行うことで尊厳の保持につながる場合など、
実際の運用においては、法制化されているアメリカなどとはちょっと異なりまして、
難しい判断を求められる事案もあるのではないかと考えております。
終末期医療と意思表明に関する問題につきましては、今後、在宅医療・介護連絡会議等での
ご意見を伺う中で研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆11番(橋岡協美) これについては市として先頭に立って、啓発という意味ではなくて、
こういったものがあることを承知しておいてほしいと思います。
次に、みとり難民についてお伺いいたします。団塊の世代が80代になる2030年には、
年間死亡数が3割増しになると予想されています。まさに多死時代の到来、さらにはみとり難民が
出るとも推測されています。終末期医療のあり方を含め、自分らしい最後を元気なうちから家族で
考えておく時代が来ています。自分らしい最後を迎えるために、自分らしく生きることが
できる社会をつくることが行政の使命であると考えます。
佐倉市の平成27年全年齢での死亡数1,666人のうち、自宅の死亡数は211人、
これは千葉県衛生統計ですが、これは県内の他市と比較して多いのでしょうか、
少ないのでしょうか。また、在宅におけるみとりの実態は把握していますでしょうか。
◎福祉部長(井坂幸彦) お答えいたします。
今、ご紹介いただいた数字でございますけれども、27年のデータで見ますと、
佐倉市の65歳以上の死亡者のうちで、自宅で亡くなった方の割合は11.2%となっております。
県内で最も高いのが市川市の19.9%、低いのが旭市の9.1%でございます。
また、医療機関のみとりに関する状況につきましては、平成27年3月に実態調査を行いましたが、
みとりに対応すると回答した医療機関は24施設で、そのうち在宅でのみとりに
対応していた機関は15施設でございました。市内の医療機関全体で、
1年間に130人から140人のみとりがされているという状況と考えております。
以上でございます。
◆11番(橋岡協美) 大体アンケートをとりますと、最後まで自宅で過ごしたいという方が
半数いるとされています。国が在宅医療の方針を出していますが、在宅の医療を進めるのではなくて、
在宅で過ごしたいと言う人をどう支援するかというお話ですので、
そのあたりをわかっていただきたいと思います。
次に、みとりをする家族への支援について伺います。
急性期を経て入院が3カ月を過ぎると退院、転院を迫られて、家族がご苦労されています。
多くの家族が、本人は家で最後を迎えたいと思っていても、家族が家でみとることができるか、
不安を抱えている方が多いのが現状です。今後、佐倉市としてはどのように取り組んでいくか伺います。
◎福祉部長(井坂幸彦) お答えいたします。
介護に関する知識を学び、介護者同士が情報交換できる場として、介護者教室や介護者の集いを
開催しておりますが、その中で、在宅での看護、みとり等について、テーマに取り上げまして説明を
させていただきましたところ、参加者からは、信頼できる専門職のサポート体制があることを知り、
そしてまた、みとり等の経験談を聞くことができて、不安が和らいだという声がございました。
今後もこのような機会をさらにふやしてまいりたいと考えております。そのほか、地域包括支援センター
などの相談体制の充実を図りまして、地域での支援や適切な介護サービスに結びつけることで、
介護者の支援に取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
医療政策実践コミュニティー同窓会を通じてご縁ある方が企画し、デスクとしてヨミドクターで
記事連載したものです。ご興味のある方は、ご一読の上、じっくりと考えてみて下さい。