老朽化した佐倉図書館建て替えの勉強をするために、人口67000人の塩尻市にあるエンパーク塩尻市立図書館を視察。
図書館、子育て支援センター、交流支援課、ブランド観光商工課、学習室、市民サロンの複合施設で吹き抜けと4つの壁柱が特徴です。
図書館は、「地域に役立つ図書館」「地域と繋がる図書館」「人と資料を繋ぐ」「産業を支える」「人材と繋ぐ」
そして利用者を増やすことを目指し開館して8年。
貸出冊数は大切な評価指標ですが、一番重要視しているのはレファレンスの数だそうです。
この地に生まれた筑摩書房創業者 古田晁さんにちなみ、「筑摩書房」の新刊書コーナーを設置していたり。
郷土資料は一番明るくて目立つところに置いてあったり、
中高生向けの部活はじめ興味を持ってもらえるヤングアダルトコーナーがあったり、
400タイトルの雑誌のカバーに広告をつけて企業等の情報発信に活用できる制度「雑誌広告掲載制度」(雑誌1冊あたり年間5,000円)を
実施していたり、
特徴的な企画「本の寺子屋」では、作家や弁護士、医師の講演会を通じ人と資料を繋ぎます。
「本と音楽を楽しむひととき」は、BGMを聞きながら読書を楽しむ企画
市民活動の発表の場となっています。
また、塩尻市内には9社のワイナリーがブドウ園の中に点在し、全国でも数少ない高等学校でのワイン醸造ワイナリーも
あることから、図書館でワイン大学を開催したり、ワイン産業を応援するためにワインに関する資料をかなりあつめています。
複本を減らす、書店から購入(地元商店の振興)する、コミックを買わない、書店をPRし販売の機会を設け本屋が売る
学習室、畳、多目的、飲食を図書館の外のスペースに設置することで、幼児を連れたお母さんが畳スペースを気兼ねなく利用できたり、
飲み物を飲みながら自習をしたり、3階の多目的ホールは、公園の中に居場所をみつけた市民がどう過ごしたいかを実現しています。
そもそも図書館は、図書館法1950年以前は閲覧のみ有料 閉架でしたが、1950年以後は無料となり、 貸し出しが重視されました。
無料貸し出しでも一人年5冊平均、市民の2割のみ利用では、こんな図書館はいらないと言われてしまうので
読書の館、無料貸本屋からの脱却し、課題解決型図書館、地域に役立つ図書館、一部の人のための図書館でなく
なくてはならない図書館にすることを目指し、利用者が年間50万人へと増加させました。
このような図書館が出来たのも、市民参加型ワーキンググループが年間32回の議論を重ねて出した報告書を踏まえて作った
市街地活性化のための図書館計画が、市民から反対運動が起きた後、図書館の建設の是非を問う市長選で推進派の現職市長が当選したことをうけ、
市民ー地域に役立つ図書館を徹底的に目指したと、前伊東直登館長がおっしゃっていました。
反対があったからこそ・・
昨年の8月議会で、徳島の図書館を例に課題解決型図書館について提案した通り、老朽化した佐倉図書館が新町の活性化に繋がる
図書館へと生まれ変わり、なくてはならない図書館へとなるようにしたいと再び思いを強くしました。
H27年8月議会 議席11番橋岡協美
図書館が行政課題を解決した例でいえば四国の徳島です。徳島駅前にあるそごうデパートが隣町に大型商業施設の建設計画が立ち上がり、
撤退を決めたそうです。そのそごうデパートに隣接するホテルの中で稼働率が下がっている宴会場に駅から離れた市立図書館を
移設したところ、貸し出し数が1.5倍、貸し出し人数が2倍、新規利用者が4倍になり、駅前図書館として市民の満足度も上がり、
そごうの撤退も中止となり、まちの活性化を図ることができました。全国さまざまな形態がある図書館は、図書館でどのような
行政課題を解決し、成果を目指すかにあると考えます。単に蔵書数や広さだけでは、人づくり、まちづくりの拠点、
知の宝庫にはなり得ません。
長崎市立図書館では、がんについての図書の相談、レファレンスが一番多かったので、がん専門のココーナーを設置し、
がんの種別に本を並べ、本の下にがん機関の情報とそのチラシを並べ、さらには市立病院の先生が図書館でがんについての
講演会を年5回開催し、講演後は医療相談を実施し、毎回150名から200名の参加者があるそうです。
がん罹患患者に対する支援も市としてできることに取り組んでいただき、がん制圧についての多岐にわたる施策を
各担当課が連携して取り組むことを要望しました。
館内どこへ行っても「こんにちは」と声をかけられ、図書館が地域コミュニティーの中心となっているのを感じました。
塩尻市立図書館 エンパーク