佐倉市、成田市、香取市、銚子市が日本遺産に指定されたことを記念して、北総4都市江戸紀行シンポジウムが
国立歴史民俗博物館で開催されました。日本遺産は、文化財を保存だけではなく積極的に活用することで地域の活性化を
図るものです。東京オリンピック、パラリンピックに向け国内外へ情報発信していくことが求められています。
北総4都市は成田空港から近く、江戸時代、利根川の水運と街道を利用し、百万都市江戸に東国の物産を供給し、
江戸のくらしと経済を支えた歴史があり、世界から一番近い「江戸」として位置づけられました。
その歴史の特徴は、「城下町」佐倉、「門前町」成田、「商家町」佐原、「港町」銚子です。
佐倉市については、佐倉城下町商店会三谷新一氏が、平井家住宅や旧堀田邸を活用した「夜会」やまち全体を
活用した祭りやクラッシックカーイベントについて発表し、今後は、日本遺産の他都市とも連携していきたいと、意気込みを語りました。
佐原市は、自分たちのまちは自ら守る事をモットーに、生きた街並みが魅力であり、挨拶ができるまち、
生活の場、商業活動の舞台として、日本遺産に指定された事をきっかけにまちづくりしていきたいと発表がありました。
成田市は、セットバックによる街並み形成に至るまでの合意形成の難しさについて発表があり、銚子市は、これまでの取り組みと、
日本遺産に指定された事をきっかけに何をするかを現在考え中とのこと。
このシンポジウムがまさに4都市にとって、日本遺産指定による文化財の活用を考えるきっかけづくりとなっている事を再確認しました。
平成27年に日本遺産に指定された先進例として、桐生市の織物参考館 紫 ゆかりが、2011年の3-11で被災後の復旧復興の中で、
織物工場に流行っていたパン屋さんをオープンさせ、青年会議所、ロータリークラブ、ライオンズクラブの事務局を桐生クラブに
置くことで、文化財を守ることにつなげた例を伺いました。
文化財を使用して残す、民間からあるものをきちんと使う、生活に基づいたものを地道に使っていく大切さを主眼に、
現在は、台湾、シンガポール、 ミャンマーから教育体験旅行が多数訪れるようになるまでの過程について発表があり、
とても参考になりました。
教育旅行は、高校生がSNSで発信もしてくれるメリットも大だそうですが、群馬県内で海外からの教育旅行の一番多い場所は、
富岡製紙工場や草津ではなく高崎だるまの絵付け体験に900校が訪れているとのこと。
桐生も髙崎も台湾はじめ現地へ足を運び、営業をしている結果です。
佐倉がこの日本遺産の指定をどう活かすかについては、まさにこれからです。