厚労省では今や終末期医療とは言わず、人生の最終段階の医療(略称は検討中)というそうですが、
今日は、その人生の最終段階の医療について医療政策実践コミュニティー(Health Policy Action Community、
略称H-PAC)の3期生としてグループ研究した内容を発表しました。
このH-PACでは「医療を動かす」をミッションに掲げ、患者・市民、政策立案者、医療提供者、メディアの
4つの立場から医療政策の課題についての実践的なグループ活動により、政策提言や事業計画作成を行うもので、
昨年6月から10か月間、毎週水曜日夜のカリュキュラムに本郷まで通い、勉強とグループ活動を重ねました。
私は、生命の誕生も死もはっきりとした線がなくなりつつある中、日本人ならではの
死生観を踏まえ、個人個人の医療の選択をしなければならない時代と捉え、どのように生きたいか?と同時に、
どのように死を迎えたいかを元気な内に、自身で考え、家族と相談し、選択が出来る時代であると考え
この研究課題を選びました。
人工呼吸器や胃瘻などの延命治療や臓器提供についての知識を深めて、自身も家族も納得のいく選択と決断をし、
事前指示書の作成が広まれば、医療も変わり医療費の削減につながるとも考えたからです。
その中で、医療に携わる医師の教育の現状を医中誌や医学部白書で調べたところ、死生観を醸成する教育プログラムや
終末期医療に関連する社会背景を巡る教育プログラム、患者・家族とのコミュニケーション研修についてばらつきがあり
十分とは言えない現状が浮き彫りになりました。
また、現場の医師約900名からのアンケートの結果、上記の研修を充実させることと、
介護施設・在宅医療における臨床実習・初期臨床研修の必要性が浮かび上がりました。
ゲストコメンテータとしてご出席下さった日本医師会会長の横倉義武先生、厚生労働省医政局指導課室長佐々木正弘氏、
日本看護協会会長坂本すが氏からは、我々の提言はとても重要なことであると認めて頂いた一方で、
厚労省では人生の最終段階の医療については、医療費の削減という視点では捉えないという意外なコメントも
頂きました。あわせて、医師会に対しては、全国医学部長会議や生涯教育における死の教育・研修の充実と
人生の最終段階の医療の認定医制度の提言をしました。
米国では、医療機関などの医療ケアを提供する機関に対して、文書で患者が望む医療に関する基本方針と
実施方法とを確認し、維持される支援を法的に義務付けていますが、日本ではこの事前指示書の普及率は
わずか3パーセント。
我々のグループでは、2025年を目途にこの事前指示書の普及率を30パーセントまでに持っていくための活動を
続けていく計画です。
佐倉市内でも勉強会を計画していますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。