トルコギキョウは福島県が県ぐるみで生産に取り組んでいる花です。震災による影響で農作物の出荷が減った当時、特定非営利活動法人(NPO)を立ち上げ、花を栽培することで復興への希望を見い出しました。
宮城県では、東日本大震災で子どもを亡くした親たちが、子どもたちが避難するために目指した丘にヒマワリを植えました。そしてその丘には毎年ヒマワリが咲くようになったそうです。絵本にもなったこの話ですが、宮城県のヒマワリはそうした被災者たちの思いも込められている花と言えます。
リンドウは岩手県を代表する花です。日本で出荷されているリンドウの半分以上が岩手県産のもの。東京2020エンブレムと同色で、藍色の美しい花を咲かせます。
ブーケを彩る3つの花にはこうした意味合いがあり、今回使用されることになったのです。
花の配置と維持についても工夫がなされています。会場にいる観客が選手を見る角度はさまざま。そのため、どこから見てもきれいに見えるように、花の種類ごとに一箇所に集めるのではなく、それぞれの花がバランス良くブーケ全体に配置されています。また、できるだけ長い時間、花を楽しめるように、花の茎の先端に袋を付け、袋の中にはゼリー状に固めた水が入っています。この工夫により、花は十分に水分を吸収することができ、より長く鮮度を保つことが可能になっています。
デザインを担当した日本花き振興協議会によると、真夏に空調が効いていない部屋の中でも数日間、きれいな状態で花を楽しむことができるそうです。
ブーケのサイズは幅約17cm、高さ約28cm。東京2020大会と同じく、副賞にブーケが採用された過去の大会では、表彰式の際、選手によってブーケが高らかに掲げられている姿が印象的でした。
困難な状況下で努力と集中力でメダルを手にしたアスリートたちの笑顔や涙をより美しく彩っているこのビクトリーブーケは、
毎日、Jビレッジ(五輪用の花を育てるために作った花畑やハウス)から5千本ほどのお花たちを会場近くに運び、そこでは東北被災地からのスタッフでビクトリーブーケを作ってもらっているそうです!
そして驚くことに、生産、流通から選手の手に渡るまでを磯村さんの会社で管理されているのですが、それが全て日本花き協議会とその関連団体によって賄われているのだそうです。国や東京都からの援助はブーケについているミライトワだけだそうです。
ビクトリーブーケの持つ意味を皆さんにもっと知っていただき、それを支えて下さっている日本花き協議会の心意気と真心を広く知っていただきたいと思いました。
雨の中、懸命に走る選手をテレビで応援し、メダリストが掲げるビクトリーブーケに再注目したいです。