こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

これが現実

2015年10月05日 21時50分11秒 | Weblog
「今年は松茸山の入札を中止とさせて頂きます。近年、山の荒廃はご承知の通りです。松はマツクイムシで全滅の惨状です。とても松茸の生育は望めません。長年の恒例を中止するのはいたしかたがありません。ぜひご理解を賜りますようお願いいたします。役員一同」
 回覧に目を通してショックを受けたのは初めて。松茸の不作は数年前から噂に聞いていたが、その現実を突き付けられた格好である。
 昔からこの近辺は良質の松茸が獲れた。秋になると買取業者が村に何人も姿を見せた。かなりの収入になった。稲の刈取りの合間に家族こぞって山に入った。それぞれがカゴいっぱいの収穫を手にして帰った。
 あの回覧を見て以来、山のことが気になった。娘を連れて山に入った。
 ショックだった。想定外の荒れ方だった。昔松茸の宝庫だった持ち山はもう昔の面影は微塵もなかった。倒木があちらこちらと多すぎる。山は崩れ、枯れて倒れ朽ちかけた松が山肌を覆っていた。
「なんか怖い感じだね」
 娘は正直だ。荒れた山は怖さを増幅している。記憶に刻まれた山は、もうそこにはなかった。
コメント
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