二度目の高校生活。最初の普通高校は事件を起こして中途退学。新たに受験して合格したのは工業高校電気科。といっても電気など専門教科に興味などない。受かるために中学の担任の助言に従っただけ。
意に反した学校の授業はまるで面白くない。身が入らないせいで成績は落第スレスレ。卒業さえ出来ればと打算的な思いだけ。二度と退学したくなかった。泣かせた父や母のの涙を二度と見たくなかった。
「キミ、国語が好きなんだね?」
国語の授業が終わった時声をかけたのはT先生。頷くと、先生は笑顔で言葉を続けた。
「だから国語の成績はいいんだ。なら他の科目も好きになれ。そしたら勉強する気になるぞ。好きこそ物の上手なれってだろ。嫌ったって卒業まで付き合うんだ。勉強も友達も学校も、好きになったら楽しくなるだろ毎日が」
思わず頷いてしまった。T先生の言葉に説教じゃなく思いやりを感じた。これまで間違いを明確に指摘し、思いやりを持った助言をくれた初めての人はT先生だった。
一進一退ながら先生の助言の実行に励んだ。まずT先生を好きになった。面白いほど国語が好きになった。いつかクラスでトップの成績に。つられて英語も数学も…専門科目もそこそこの成績に。支配されていた嫌悪感はいつしか嘘みたいに消えていた。
『好きになればいい』そんな簡単な思考の切り替えだけで、友達も数人、親友も出来た。二度目の高校生活は暗から明に一変した。
二年生で生徒会長に。母校愛は誰にも負けないものに育った。進路も自分で決めた。T先生は転勤されたが、先生のさりげない教えは一人の落ちこぼれ生徒の心に深く刻まれ残った。T先生との出会いは幸運だった。
社会人になってもT先生の言葉を守った。書店員、調理師学校、レストラン、喫茶店を経て自分の店を持てたのも、『好きになればいい』と努力を重ねたからである。
意に反した学校の授業はまるで面白くない。身が入らないせいで成績は落第スレスレ。卒業さえ出来ればと打算的な思いだけ。二度と退学したくなかった。泣かせた父や母のの涙を二度と見たくなかった。
「キミ、国語が好きなんだね?」
国語の授業が終わった時声をかけたのはT先生。頷くと、先生は笑顔で言葉を続けた。
「だから国語の成績はいいんだ。なら他の科目も好きになれ。そしたら勉強する気になるぞ。好きこそ物の上手なれってだろ。嫌ったって卒業まで付き合うんだ。勉強も友達も学校も、好きになったら楽しくなるだろ毎日が」
思わず頷いてしまった。T先生の言葉に説教じゃなく思いやりを感じた。これまで間違いを明確に指摘し、思いやりを持った助言をくれた初めての人はT先生だった。
一進一退ながら先生の助言の実行に励んだ。まずT先生を好きになった。面白いほど国語が好きになった。いつかクラスでトップの成績に。つられて英語も数学も…専門科目もそこそこの成績に。支配されていた嫌悪感はいつしか嘘みたいに消えていた。
『好きになればいい』そんな簡単な思考の切り替えだけで、友達も数人、親友も出来た。二度目の高校生活は暗から明に一変した。
二年生で生徒会長に。母校愛は誰にも負けないものに育った。進路も自分で決めた。T先生は転勤されたが、先生のさりげない教えは一人の落ちこぼれ生徒の心に深く刻まれ残った。T先生との出会いは幸運だった。
社会人になってもT先生の言葉を守った。書店員、調理師学校、レストラン、喫茶店を経て自分の店を持てたのも、『好きになればいい』と努力を重ねたからである。