六十六歳。現役を退いて五年目。
「もうおじいちゃんなんだから、ゆっくりしてなさいよ」
家族のこころ配りは嬉しい反面、余計なお世話である。まだ老け込む年じゃない。私には大きな夢がある。それも引退してすぐ見始めた夢である。
友人の死が影響している。彼は実に精力的な生き方を誇っていた。金があり会社の経営者であった。殺しても死ぬタイプではない彼が亡くなる半年前にボロッと弱音を吐いた。
「オレなあ、考えてみりゃ自分の人生を生きたことがないんや。会社は親の後を継いだし、親の財産でぬくぬく生きている。ふと立ち止まった時、思うんや。オレってこのままなんの夢も見んと死ぬんやって。ものすごく空しくなる。人間て夢に向かってまっしぐらに生きてこそ人間やろ。もう手遅れかな…?」
その言葉が胸にグサッと突き刺さった。(オレにも夢に生きた瞬間てあったっけ?)ジワーッと悪寒に襲われた。そして友人の死に遭遇。彼の無念さを自分の事のように感じた。
(夢に挑戦や。いつ命尽きるか分からへん。いますぐ夢を実現するんや!)
友人の死に鼓舞される形で、私の挑戦は始まった。若い頃、やりたーい!と切実に願った夢の再挑戦だった。
人生でたった一冊、自分の本を出版する!もう迷いはなかった。限られた余生を存分にかけてみよう。悔いのないようにやるだけだ。
これまでに書き溜めた原稿を読み直し清書するところから始めている。これが大変。目の衰えが著しい。モニター画面の文字を追いかけるのも一苦労である。しかし、夢はあきらめないの信念で連日作業を進めている。
出版相談会にも参加した。これまでは躊躇して結局は止めていた相談会に足を運んだ。
一歩一歩前進している。費用の捻出も頭を抱えて頑張っている。老いらくの夢だって、やればやれるところを絶対見せてやるのだ。
「もうおじいちゃんなんだから、ゆっくりしてなさいよ」
家族のこころ配りは嬉しい反面、余計なお世話である。まだ老け込む年じゃない。私には大きな夢がある。それも引退してすぐ見始めた夢である。
友人の死が影響している。彼は実に精力的な生き方を誇っていた。金があり会社の経営者であった。殺しても死ぬタイプではない彼が亡くなる半年前にボロッと弱音を吐いた。
「オレなあ、考えてみりゃ自分の人生を生きたことがないんや。会社は親の後を継いだし、親の財産でぬくぬく生きている。ふと立ち止まった時、思うんや。オレってこのままなんの夢も見んと死ぬんやって。ものすごく空しくなる。人間て夢に向かってまっしぐらに生きてこそ人間やろ。もう手遅れかな…?」
その言葉が胸にグサッと突き刺さった。(オレにも夢に生きた瞬間てあったっけ?)ジワーッと悪寒に襲われた。そして友人の死に遭遇。彼の無念さを自分の事のように感じた。
(夢に挑戦や。いつ命尽きるか分からへん。いますぐ夢を実現するんや!)
友人の死に鼓舞される形で、私の挑戦は始まった。若い頃、やりたーい!と切実に願った夢の再挑戦だった。
人生でたった一冊、自分の本を出版する!もう迷いはなかった。限られた余生を存分にかけてみよう。悔いのないようにやるだけだ。
これまでに書き溜めた原稿を読み直し清書するところから始めている。これが大変。目の衰えが著しい。モニター画面の文字を追いかけるのも一苦労である。しかし、夢はあきらめないの信念で連日作業を進めている。
出版相談会にも参加した。これまでは躊躇して結局は止めていた相談会に足を運んだ。
一歩一歩前進している。費用の捻出も頭を抱えて頑張っている。老いらくの夢だって、やればやれるところを絶対見せてやるのだ。