実は結婚を諦めていた。
28になるまで、
女性と付き合った経験はなかった。
人見知りで口下手と、
面白みのない根暗そうな男性なのだから、
仕方がない。
仕事もレストランのコック、
調理場でひとり黙々と、
仕込みやオーダーをこなす日々、
女性と交際する余裕すらなかったのだ。
そんな私に生きがいを与えてくれていた、
唯一の趣味であるアマチュア劇団活動。
華やかなお芝居の世界とみられているが、
そんな中でも、いつも独りぼっち。
ただ舞台での演技は自分を変えてくれたし、
スポットライトを浴び、
スター気分さえ味わえるので、
続けられたと思う。
そして28になった時、
自分でアマ劇団を旗揚げしていた。
浮いた話もなく、
もう結婚は諦めた!芝居と結婚だ!
なんて粋がった行動だった。
そこへ入団してきた第1号が、
後に妻になる彼女だった。
当時は高校生、
私は13年上のおっさん(笑)
私以上に演劇好きの彼女は、
すぐに劇団の中心メンバーになった。
だからといって、
プライベートな交際など皆無。
同じころに自分の喫茶店を開店させ、
劇団から1歩ひいて経営にまい進した。
劇団のことを忘れるほど、
忙しい喫茶店経営に懸命になる私だった。
「うちバイトしたる」
とやって来たのが短大生になった彼女。
雇うお金がないと断るが、
「お金は出来た時でええねん。
ええ年したマスターがジタバタしとるん見てられへんわ」
強硬な彼女の言い分だった。
結局彼女は喫茶店でも強力な戦力に。
2年後、保母さんになった彼女から、
「マスターの嫁さんになったるわ」と告白された。
結婚とは縁なしと達観していた私には寝耳に水。
「年が離れすぎやし……」
躊躇する私にお構いなく、
彼女はグイグイと強引に押しかけ妻になってしまった。
以来40年近い夫婦生活。
そして4人の子を巣立たせた。
70半ばに差し掛かる私は、60代妻に、
「ぼやぼやしとらんと、動かなすぐ年とるやんか」
と言いたい放題言われている。
しかし私の人生に幸運を届けてくれたのは、
この妻だと確信する私に妻はいう。
「もうちょっとふたりで人生楽しまなアカンやろ」
嬉しい言葉だ。(ありがとう)
28になるまで、
女性と付き合った経験はなかった。
人見知りで口下手と、
面白みのない根暗そうな男性なのだから、
仕方がない。
仕事もレストランのコック、
調理場でひとり黙々と、
仕込みやオーダーをこなす日々、
女性と交際する余裕すらなかったのだ。
そんな私に生きがいを与えてくれていた、
唯一の趣味であるアマチュア劇団活動。
華やかなお芝居の世界とみられているが、
そんな中でも、いつも独りぼっち。
ただ舞台での演技は自分を変えてくれたし、
スポットライトを浴び、
スター気分さえ味わえるので、
続けられたと思う。
そして28になった時、
自分でアマ劇団を旗揚げしていた。
浮いた話もなく、
もう結婚は諦めた!芝居と結婚だ!
なんて粋がった行動だった。
そこへ入団してきた第1号が、
後に妻になる彼女だった。
当時は高校生、
私は13年上のおっさん(笑)
私以上に演劇好きの彼女は、
すぐに劇団の中心メンバーになった。
だからといって、
プライベートな交際など皆無。
同じころに自分の喫茶店を開店させ、
劇団から1歩ひいて経営にまい進した。
劇団のことを忘れるほど、
忙しい喫茶店経営に懸命になる私だった。
「うちバイトしたる」
とやって来たのが短大生になった彼女。
雇うお金がないと断るが、
「お金は出来た時でええねん。
ええ年したマスターがジタバタしとるん見てられへんわ」
強硬な彼女の言い分だった。
結局彼女は喫茶店でも強力な戦力に。
2年後、保母さんになった彼女から、
「マスターの嫁さんになったるわ」と告白された。
結婚とは縁なしと達観していた私には寝耳に水。
「年が離れすぎやし……」
躊躇する私にお構いなく、
彼女はグイグイと強引に押しかけ妻になってしまった。
以来40年近い夫婦生活。
そして4人の子を巣立たせた。
70半ばに差し掛かる私は、60代妻に、
「ぼやぼやしとらんと、動かなすぐ年とるやんか」
と言いたい放題言われている。
しかし私の人生に幸運を届けてくれたのは、
この妻だと確信する私に妻はいう。
「もうちょっとふたりで人生楽しまなアカンやろ」
嬉しい言葉だ。(ありがとう)