難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

2006年放送バリアフリーシンポジウム

2006年11月05日 21時19分27秒 | 生活
CS障害者放送統一機構が進めている放送バリアフリーシンポジウムが今年も開かれる。
前は全難聴、全日本ろうあ連盟が共催したり、地元の実行委員会形式で開かれてきたが、2002年からアジア太平洋の取り組みに会わせて国際放送バリアフリーシンポジウムとして、開催されるようになり、CS障害者放送統一機構が主催するようになった。

我が国の放送バリアフリーは本来デジタル放送であっても実現されなくてはならないが、総務省がデジタル放送がその前進になるというならば積極的に放送事業者やメーカーを主導すべきだ。ただでさえ、放送のデジタル化は地方局も含めて財政的負担が大きく、国がアナアナ変換に莫大な予算を投じて進める時に、障害者向け放送に少し取り組んでいることが政府や放送事業者の免罪符のように扱われても困る。
国民の理解を得て、放送のバリアフリーが一挙に進むようにしなければおかしい。
総務省のデジタル放送時代の視聴覚障害者放送に関する研究会が開かれており、視聴覚障害者団体は結束して政府や放送事業者、メーカーにあたる必要がある。このシンポジウムでもその結束を示す場としなければならない。
政府も内閣府障害者背策推進本部はもちろん、総務省、経済産業省も含めて取り組みを進める必要がある。

ラビット 記
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視覚・聴覚に障害のある人たちのための放送バリアフリーシンポジウム2006 in TOKYO
〜デジタル時代の、放送事業者とメーカーへの期待〜

平成18年度「障害者週間キャンペーン事業」
【トヨタ財団<地域社会プログラム>助成事業】

要 綱(案)
日時:12月9日(土)10時〜17時
場所:学士会館
(都営三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線神保町駅すぐ)
〒101-8459 東京都千代田区神田錦町3-28
TEL 03-3292-5936 FAX 03-3292-0882

参加無料
当日資料代1000円(当日資料は、墨字、点字、拡大文字、CDを準備しています)

総務省の「字幕放送普及の行政の指針」の目標まであと1年。
すべての人のための放送を義務づける法律の制定が、いま求められています。
デジタル放送の普及が進み、ワンセグ放送も始まりました。
これらの新しい放送、そして衛星放送や地方局の放送のバリアフリー化を進めるためには・・・・

《プログラム》(予定)
10:00〜10:05 開会あいさつ 
高田 英一(特定非営利活動法 CS障害者放送統一機構理事長)
10:05〜10:30 ご来賓あいさつ  
10:30〜11:00 問題提起
岩井 和彦(特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会)
黒崎 信幸(特定非営利活動法人全国聴覚障害者情報提供施設協議会)           
11:00〜11:30 講演1「字幕放送等普及に向けた総務省の取り組みと現状」
高田 義久(総務省情報通信政策局情報通信利用促進課課長補佐)
11:30〜12:30 講演2 「アメリカにおけるデジタル時代の放送バリアフリーの現状について」(仮題)
メラニー・ブルンソン(アメリカ盲人協議会常務理事、弁護士)
12:30〜13:30 昼食休憩
13:30〜13:45 地域での取り組み報告 
野々村好三(社会福祉法人京都ライトハウス)

13:50〜16:30 シンポジウム 
コーディネーター 高岡 正(社団法人 全日本難聴者中途失聴者団体連合会理事長)
パネリスト  
星加 良司(東京大学先端科学技術研究センター)
宮本 一郎(財団法人 全日本ろうあ連盟理事)
畠山 経彦(日本放送協会編成局統括担当部長)
刀禰 隆司(KBS京都テレビ編成局長)
西滝 憲彦(特定非営利活動法人 CS障害者放送統一機構理事)

16:50〜17:00 閉会あいさつ  笹川吉彦(社会福祉法人 日本盲人会連合会長)

《主催》 
財団法人 全日本ろうあ連盟
社会福祉法人 日本盲人会連合
社団法人 全日本難聴者中途失聴者団体連合会
特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会
特定非営利活動法人 全国聴覚障害者情報提供施設協議会
特定非営利活動法人 CS障害者放送統一機構(主管団体)
〒530-0044 大阪市北区東天満2-7-12 スターポート
Tel.06-6242-6501 Fax.06-6242-6502
http://www.medekiku.jp/cs/index.html

《協賛》
全国手話通訳問題研究会
特定非営利活動法人 全国要約筆記問題研究会
日本手話通訳士協会
社会福祉法人 日本点字図書館
社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター

《後援》(予定)
障害者施策推進本部
総務省
厚生労働省
東京都                         
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
《東京実行委員会》
社団法人 東京都聴覚障害者連盟
社団法人 東京都盲人福祉協会
特定非営利活動法人 東京都中途失聴・難聴者協会
全国手話通訳問題研究会東京支部
社会福祉法人 日本点字図書館
社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター
特定非営利活動法人 全国要約筆記問題研究会東京支部


障害者自立支援法の要約筆記「者」の意味

2006年11月05日 10時20分31秒 | 要約筆記事業
要約筆記「者」は、障害者自立支援法第77条第2項で市町村に実施が義務つけられた意思疎通の仲介をするものとして派遣される。
第77条第2項は、厚生労働省が示した地域生活支援事業の実施要項ではコミュニケーション支援事業として、市町村が実施する。
実施主体は市町村なのでどのように実施するかは、各市町村が実施要項を定める。厚生労働省の実施要項に添ったものになるだろう。派遣されるものは登録要約筆記奉仕員でも要約筆記者として派遣されることになる。
その際に派遣対象や費用負担、要約筆記者の謝礼なども合わせて定められる。
要約筆記は、市町村の提供する各種の行政サービスの一つになる。要約筆記者は要約筆記奉仕員とは明らかに異なる身分になる。

要約筆記は、国会で定められた法律による障害者の自立のために行われる支援サービスだ。要約筆記は、法律で中途失聴・難聴者の「聞く権利」を保障するサービスとして位置付けられたのだ。
全難聴大阪大会の理事長の挨拶には「コミュニケーション権利保障法とでも言うべき」法律とある。

全難聴は、過去二回身体障害者福祉法の改正の度に「難聴」の言葉を入れるよう国会陳情を繰り返してきたが、それが形を変えて実現したのだ。

この後は、法律の趣旨を良く理解して、全ての市町村に実施をさせ、要約筆記「者」を一人でも多く養成しなければならない。

ラビット 記


全要研要約筆記指導者養成講座

2006年11月04日 07時20分03秒 | 要約筆記事業

名古屋タワー全要研と全難聴が要約筆記指導者養成講座を名古屋の産業会館で開講している。
参加者が約250人と予定を大幅に上回っり、A、B二つの講義を同時に並行することになった。
これだけ多くの参加があったのは、やはり障害者自立支援法が施行されて、要約筆記「者」が派遣されるようになって、要約筆記関係者、難聴者協会の関心が高かったことがある。
事業をスタートさせた講師から、難聴者協会の会員以外の難聴者、高齢者などからの依頼が増えていること、受診や学校、仕事の研修など個人の利用が増えていること、市町のイベントにも派遣していることが報告されている。
これから、全国の市町村で要約筆記者派遣事業がスタートすれば、個々の派遣で様々な問題が発生してくるだろう。
要約筆記が通訳である理解が不十分なことから記録を求められたり、派遣先のトラブル、守秘義務の問題なども出てくるのではないか。
必要とされる技術や対応の内容も理解出来てくる。それを要約筆記者個人ではなく、派遣元で集団的に検討が必要になる。

このように専門性が要求されてくると要約筆記者集団が必要になる。

ラビット 記


要約筆記者事業への転換(3)

2006年11月03日 08時34分34秒 | 日記(つぶやき)
061105_1811~001.jpg要約筆記者派遣事業がスタートしているが、通訳課程のカリキュラムを修了した要約筆記者が派遣されるのは2009年からだ。

全難聴の調査研究事業で提案された要約筆記者養成通訳課程カリキュラム案は2年間かけて学習するが、これに基づいて指導出来る要約筆記指導者は、今年2006年から2年間かかって養成されるので、各都道府県で指導が始まるのが2007年度から2年間になる。
2007年度から、要約筆記者養成事業を始めるなら、すでに予算要望をしておかないと間に合わない。

それまで登録された要約筆記奉仕員が要約筆記者として活動しなければならないが、要約筆記者が社会の需要に答えうるのに必要な人数が満たされるまで、さらに少なくても数年かかる。

難聴者協会などが要望しなければ、行政によっては派遣される要約筆記奉仕員に要約筆記者としての補習研修を何もしないことも、通訳課程の要約筆記者の養成への切り替えも行わなず、要約筆記奉仕員養成カリキュラムのまま実施することともある。
手話通訳だけ派遣されて、要約筆記者の派遣が行われないということも十分ある。県で要約筆記奉仕員派遣事業を続ける場合、社会参加促進事業とされるので十分要求しないと予算が確保されない恐れがある。

ほとんどの市町村で派遣事業をしていた兵庫県や京都府の派遣実績を県単位の派遣事業しかしていないところと比べると人口当たりの利用率が数倍以上になる。そうすると来年4月から市町村で本格的に派遣が始まれば需要が数倍になると見込まれる所以だ。

ラビット 記
写真はスーパーのクリスマスのイルミネーション


なぜ、コミュニケーション支援事業の有料化が狙われるか

2006年11月02日 21時26分36秒 | 福祉サービス

秋の枯れ葉東京都の昭島市では、コミュニケーション支援事業を他の障害者サービスとともに条例で有料化した。

市の障害者福祉の担当部長は聴覚障害者団体が何度交渉しても、「他の障害者との公平のため」として頑迷な態度を取り続けている。

条例で決定されているので、これを再審議に持ち込むには相当の理由が必要だ。
コミュニケーション支援が双方に「利益」があるから聴覚障害者のみが負担するのはおかしいとか、生活のあらゆる活動に必要だと説明しても、他の一部の障害者から、自分たちが負担しているのになぜ無料を要求するのかという声もあるくらい、もっと説得力のある説明が必要だ。

個別給付の自立支援等は支援費制度で行政の措置から契約に、つまり利用者とサービス提供事業者との契約になった。コミュニケーション支援事業は社会参加促進事業で「契約」になっていない。行政サービスで無料とされてきた。
ところが、移動支援は支援費制度では個別支援の契約事業だが、自立支援法では地域生活支援事業になった。ここで、地域生活支援事業に法律で有料にされた契約の事業が入ってきた。
そこで、行政はわざと「間違って」違う制度のサービスを有料化を持ち出した。
何故か。財政負担を抑えるためしかない。コミュニケーション支援事業の予算はどこも他の障害者支援事業に比べれば多くはないのに、何故有料化するのか。コミュニケーション支援事業が無料であれば他の障害者から無料化を求められる。実際に東京の区部の視覚障害者団体からはガイドヘルパーを手話通訳事業同様に無料にしてほしいと要求が出ているそうだ。

行政としてはこの動きを抑えるためには何が何でも無料化を認めたくないわけだ。逆に障害者側は権利として、無料化を求める理由にしたい。
行政は法的根拠は明確なものがないので、他の障害者との公平さを言うしかない。
格差是正を言うなら健聴者との格差をなくしたり、所得保障が先だろうに。

10月31日の1万5千人の参加者が終日、国会や厚生労働省を包囲したことがマスコミでも多く取り上げられ、国会の質疑にもそれが反映している。
あくまでも、コミュニケーション支援は「権利」として打ち出さないと障害者同士の比較になり、負けてしまう。

ラビット 記



要約筆記者事業への転換(2) 

2006年11月02日 14時03分20秒 | 要約筆記事業
061029_1440~001.jpg制度が急に変わってもすぐには対応出来ないという声は難聴者側に少なくない。
利用者の立場に立てば、きちんと書ける要約筆記者が派遣されるのは好ましいはずだが、難聴者協会の側は時期尚早だという。
長年要約筆記奉仕員の養成に苦労してきた難聴者協会としてみれば、要約筆記者養成の通訳課程のカリキュラムの108時間などに目がいってしまい、そんな講習会の指導運営は無理だ、そんな「高度」の要約筆記者を必要としている人は東京だけで地方にはいない、「通訳」よりは介助が必要だということになるのだろうか。
一人でも必要な人がいれば、その権利を守らねばならない。

制度は急に変わったのではなく、2000年の社会福祉基礎構造改革で福祉の流れが大きく変わったこと、2004の全国要約筆記問題研究大会でそのことが厚生労働省から問題提起されていた。昨年の仙台大会でもまさに障害者自立支援法と要約筆記者事業について討議してきたし、報告書にも残っている。
私たちは手話通訳と対等の要約筆記者、身分保障のある要約筆記者を長年求めてきたはずだ。そのことが自分たちの権利保障になると考えてきた。

それでも急にと感じるならば、2000年の社会福祉基礎構造改革から支援費制度への流れについて、三位一体改革、グランドデザインから障害者自立支援法へと説明を進めてきた全難聴の説明不足だ。その前の社会福祉基礎構造改革からしっかりと学習しなければならなかったのだ。

手話通訳士協会や東京手話通訳派遣等センターから福祉基礎構造改革や支援費制度に関するシンポジウムや講義のリーフレットになって販売されている。手話通訳問題研究誌や障害者関係団体の機関紙等にも掲載されている。ろう者団体や手話通訳その時々にこうした学習に取り組んでいることが権利意識の確立になっている。この学習が全難聴も全要研も欠けている。

福祉情勢の認識に対する遅れを取り戻すべく、進めてきたことが「急」に映ったのだろう。しかし、全難聴の要約筆記者事業が今要約筆記者制度化の要になっている。

今秋の要約筆記指導者養成講座の申込みが県の過半数を越えるなら、地方行政や要約筆記関係者の理解は進んでいることになる。

ラビット 記



要約筆記者事業への転換(1)   

2006年11月02日 12時34分55秒 | 要約筆記事業

路傍の花110月からコミュニケーション支援事業で要約筆記者が派遣されている。
派遣される要約筆記者には登録要約奉仕員があたることになっているので、要例えば滋賀県では約筆記奉仕員が要約筆記者として派遣されている。

「要約筆記奉仕員に認定試験を受けない方は派遣されない」という不安が広がっているという。
難聴者のコミュニケーションの保障に努力されてこられた方が、法律でその活動基盤が出来たわけだから、要約筆記者として活動してほしいと願っている。

法律で基盤が出来たというのは、要約筆記奉仕員派遣事業は法律に基づかない事業で厚生労働省の通知によるものだったのだが、障害者自立支援法では実施主体が実施主体で必ず実施しなければならないことになったということだ。
障害者の権利擁護の行政サービスとして派遣される以上、責任が伴うのは当たり前で、一定の技術、知識が求められる。
そのため公的な担保として認定試験がある。受けなければ、公的サービスに従事出来ないのだ。ボランティアの試験とは違う。
手話通訳はその養成研修事業の実施要項で修了時には登録試験がある。

今は制度の変わり目で、登録要約筆記奉仕員がそのまま派遣されているかも知れない。
しかし、財政圧迫の中、税金の使途が今ほど厳しく問われている時はない。その価値があるのか、いずれ市民や議会から問われる。

要約筆記奉仕員が「今までも責任を持ってきた」とは言えない。責任を持つのは個人ではなく、派遣元であり、市町村である。その責任を担保するのが認定試験だ。

ラビット 記