HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

ソナチネの格調

2009年06月20日 | クラシック曲
キノパパ(大人):
今年のチャティーコンサートでは、初めて本格派のピアノ曲、「ソナチネ」に取り組むことになりました。

「まだ、先週と同じく前半までです」と言って弾いてくれたキノパパさんのソナチネは、前回のレッスンの時と 大きく違った音色で響きました。

「急がないで、ゆっくり確実に音を弾いて練習していてください」とアドバイスしていたのですが、キノパパさんはそれをしっかり守り、着実に 堅実に ひとつひとつの音をかみしめるように弾き込んでありました。

去年まで弾いていたロマン派系の曲とはちがって、古典派の音楽はごまかしがききません。
ひとつひとつの音の質やタッチが、モロに現れてしまう、言ってみれば「労多くして功少なし」といった感じなのですが、だからこそ、しっかり弾かれた古典派のピアノ曲には ゆるぎない格調高さが醸し出されます。

ごまかしがきかないので、なかなか大人で、発表会に古典派のソナチネを弾こう!という人はいません。
キノパパは貴重な「大人の古典派チャレンジャー」なので、私としてはとっても楽しみなのです。

苦労は多いと思いますが、ぜひがんばって、古典派を弾きこなしてほしいです♪

スタートはこれから♪

2009年06月20日 | 音楽のツボ
Cさん(大人):
十月の末に開く「チャティー・ハロウィーンコンサート」で弾く!と決めたドビュッシーの「月の光」を練習しています。
レッスンは月2回しかないのですが、レッスンに来ていない半月の間は 自分で一生懸命楽譜を読み取り、鍵盤で音を取り、努力の末 とうとう最後まで弾けるようになりました。

コンサートまで、あと4ヶ月以上あります。
もう ここまでできたから楽勝! でしょうか?

いいえ、本当のレッスンは、実はこれからなのです。
その曲の持っているメッセージやイメージ、美しい音色や色彩感、心地よい流れ・・・
そういったものを表現するため レッスンを重ねていくのは、実は楽譜が全部弾けてから・・・それどころか、暗譜するほどに完成してから、と言った方がいいかもしれません。
そこまで到達して ようやく、真の音楽を極めていく道のスタートに立ったと言えるのです。
これから完成までの方が、実は険しく長い道程になるのです。

Cさんは 別のジャンルですが 彼女自身 表現者ですし、そこのところはよくわかっていてくれるので、私は安心して、あーでもないこーでもないと、満足できる音を要求させてもらってます。

ひとつひとつの音の響き、フレーズのふくよかな弾き方、右手と左手にめまぐるしく交錯する声部の流れを それぞれ違った音色で弾き分けることなど、課題は山積みで、いくら時間があっても到底たりないぐらいなのです。

「なんだか、初めのころよりヘタになったみたいな気がします」とCさんは言います。
実は、曲がだんだん弾けるようになってきたとき、誰もがそう感じるものです。
最初は夢中で弾いていたけど、だんだん余裕が出てくると、自分の音がよく聴けるようになり、不揃いがわかるようになる。
早いテンポで弾けるようになってきたので、弱点の部分のつまずきが目立つようになる。
こんなようなことなので、決してヘタになったわけじゃありませんから。
最初の頃より、ずっとなめらかに、美しい音色で弾けていますから、安心してね。


ピアノソナタ -和音を感じて-

2009年06月20日 | コード奏法

S子ちゃん(小5):
モーツァルトソナタK545の展開部に進んだのは、もう1ヶ月ぐらい前になるのですが、右手と左手が掛け合いになって 次々と転調しながらスケールを重ねていく部分が なかなかうまく弾けませんでした。
 
今日も、楽譜とにらめっこしながら一生懸命弾くのですが、ちょこちょこ♯や♭を落としたり、ポジションを間違えたり、譜面を見落としたりと四苦八苦です。

そこで先生は、S子ちゃんの楽譜にコードネームを書き込んで言いました。
「この掛け合いのところは、コードが次々に変化していってるのよ。最初はGmだから、右手も左手もGmの中で動いてるの。音使いは同じじゃなくても、コードは同じだから、その中の音で動いてるのよ。次はA、その次はDm。ね?だから、間違ってファに♯つけちゃったらおかしいってことがわかるでしょ。Dmのコードに、♯はないもんね」
そして その掛け合いが続くひとくさりを弾いてあげました。

次に、S子ちゃんの弾くのに合わせて、ピアノの低音部でコードの和音を鳴らしてあげました。

するとどうでしょう。あんなに、楽譜を一生懸命見ても間違えてばかりだったS子ちゃんが、一つの間違いもなく 完璧に弾けてしまったではありませんか。
さらに驚いたことには、なんと楽譜を見ずに、です。

「できるじゃん!楽譜見ない方が弾けるじゃん!なんで?!」
「うーん・・・先生の弾くのと和音聞いて、何かがわかったから・・・」
「『何か』というのは、コードってことかもしれないね」
「たぶん。」
そうなのです。一つ一つの音にとらわれて、♯だ♭だと翻弄されていた間は、曲の流れをつかむことができなかったS子ちゃんですが、音符にまどわされず 自然にあふれてくる音楽に心の耳をかたむけてみたら、何の苦労もなくモーツァルトの音楽が再現できてしまったのです。

「音楽って、そういうことだから。楽譜を正しく弾くことが目的なんじゃないんだから、楽譜はなるべく早く離してしまおうね」

そういって、先生は今度はエレクトーンで、S子ちゃんのピアノに和音を合わせました。
軽やかでかわいいモーツァルトの小さなソナタが、まるでオーケストラをバックにしたピアノコンチェルトのように堂々と響きました。
豊かな和音の響きをバックに聞きながらだと、ますますピアノのスケールが弾きやすくなるのは、まるで魔法みたい。
でも、それが、それこそが「音楽」ってことなのよ。