べっきー君(大人):
普段は自分で練習し、時々 単発でレッスンに来ています。
今日は、ラフマニノフのピアノ交響曲2番の、夢のように美しい第3楽章をピアノアレンジにしたものを「クリスマス発表会で弾こうと思います」と持参しました。
べっきー君はこの曲を、長い間ずーっと大切に温めていたのだと思います。
前にもレッスンに持ってきたことがありますが、その時点で既に数年間、自分で練習してました、と言ってた。
オリジナルの交響曲では、一斉に湧き上がるようなストリングス群の甘美なメロディーで曲が始まります。
ロマンチストのべっきー君がお気に入りなのも当然ですね。
甘く優しく、聴いているとうっとり脱力してしまいそうなこの曲。ところがこれを弾くとなると、いきなり厳しい。
8分音符の刻みで流れるように歌われる右手メロディーに対し、支える左手伴奏は終始三連符…
そう、みんなが恐れる「二拍三連」満載なのです。
以前にべっきー君がこの曲を持ってきた時は「二拍三連の練習のために」ということだったんですから、そのニ拍三連詰め込みぶりはハンパない。
それを弾こうっていうんで、前回のレッスンの時は四苦八苦でした。
今日のレッスンでは、ニ拍三連も大分自然に演奏できていて、がんばったんだなあ、と思いました。
さすが努力家べっきー君。
ところがです。
あまりに左手の三連符を一生懸命やりすぎたので、時々、メインのメロディーよりも伴奏がガンガン目立って、主役みたいになっちゃってる部分が。
これでは本末転倒になってしまいます。
どんなに高度なテクニックでかっこよく弾いたとしても、主役を食ってしまってはいけない。
伴奏はあくまでも、主役のメロディーを引き立てることに徹しなければいけません。
伴奏は「名脇役」、アカデミー賞で言えば「助演男優賞」に匹敵する、抑えたシブい演奏をぜひお願いしたいです。
ベテランの名脇役により、主役のメロディーが さらなる輝きを得ることまちがいなし!
べっきー君が次にこの曲を聴かせにきてくれるのを 楽しみに待ってます。
主役と脇役が絶妙に絡み合った、夢のサウンドに期待。