三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

未来のサムライミュージシャンズ発掘コンテスト 優秀賞受賞!

曽根崎心中を再認識した日。

2008年04月22日 | 鑑賞
文楽を観てきました。

前半は、「日吉丸稚桜 駒木山城中の段」

もう、お決まりのアレですよ。
忠義のために、冷徹なふりをして我が子を殺し、
いまわの際に真実が明かされ涙々、っていう。
分かってるんだけど、泣けます。
それはもう、ぼろぼろに泣けました。

後半は、「桂川連理柵」

心中ものなんですけど、
これはとんでもなくひどい男の話で。
ものすごくよくできた女房がいるのに、
旅先で隣家の娘お半とうっかり過ちを犯して妊娠させ、
しかも、最後には、昔、遊女と心中をはかって
生き残ったという過去まで明らかになる、
こんな男と心中なんかしたくないぞ。
第一、この男は、お半のことなんて愛してない。
彼が死ぬ理由は、嵌められたこととはいえ、商売上の理由だけ。
それでも未練たらたらで、
死ぬ前にもう一度と、女房と養父の顔を見に戻ってきてる。
で、そのあと、お半の死ぬ覚悟を察して、
それならば一緒に心中を…と思い立つだけ。
一方のお半の方は、彼が好きで好きでたまらなくて、
別れを告げられて、ひとり死ぬ覚悟を決めてしまう。
道行で、思いのたけを掻き口説くのですが、
女房ができすぎた女だけに、いまいち同情できなくて、
一途を通り越した女の恐ろしさみたいなものまで感じてしまった、、。

そう考えると、同じダメ男でも、
「曽根崎心中」の徳兵衛はかわいいですよね。
九平次の存在はともかくとして、
死ぬときにはもう、お互いしか見えてない。
やっぱり「曽根崎心中」は名作だなぁと思ってしまった。
どんなふうにアレンジするにしても、
心中することで、二人の恋を永遠に昇華させた、
その核心だけはきちんと描きたい。

コメント
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