三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

未来のサムライミュージシャンズ発掘コンテスト 優秀賞受賞!

桃山ビートトライブ。

2008年04月24日 | 読書
最近、読書にいそしんでます。

桃山ビート・トライブ (集英社文庫)
天野純希
集英社


これは、三味線弾き&笛役者&太鼓打ち&踊り手の一座が主人公。
読まずにはいられないような設定です。

作者の中では、絶対に津軽三味線が鳴り響いてるに違いない。
時代考証は無視してね。
だって、即興で叩きつけるような撥さばき、おまけに犬皮、太棹。
でもって、客に見せつける芸人魂。
まるっきり津軽やん。

でも、私はこの三味線弾き藤次郎は嫌いなタイプ(笑)
自分の芸を信じるのはいいことだ。
そのプライドがなかったら、舞台なんてやれない。
でも、芸人はエラくないの。所詮は無為徒食の生きもの。
たとえ実力が伴ってても、自信過剰が見えるのって好きじゃない。

それより、笛役者の小平太がうまく描かれてました。
安定と夢、自信と不安の間で、ぐらぐらなの。リアルな人間やわ(笑)
彼が、何度となく問い続ける、
この一座に俺は必要か、誰が吹いても同じなのか、という痛み。
この切なさ。すごくよく分かる。
でも、きっと居場所はある。それは、お互い分かるはずなんだ。
踊り手のちほみたいに、それを伝えられる人間でありたい。


文章が、いまどきの若者の口語っぽい地の文があったりして、
やや抵抗ある部分もありましたが、
読み終えて、清々しい気持ちになれました。

身勝手かもしれないけど、舞台って最高。
あたしもそう思う。

コメント
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