イギリスのロンドンに何年も居住して、
いつまで独身でいるの?
と親から迫られ、結婚相手探しに帰国して、
婿さん探しに就職してきたお嬢さん、
仕事はよくできるし、
手が余ると、他人のお仕事も手伝うような機転の利かし方する。
しかしよく遅刻してきた。
そのまま黙って見ていては、
一緒に働く人もありケジメがつかないので、
三回遅刻したら注意をしようと思っていたら、
その時が来た。
「遅れてすみません」と言う彼女に、
「仏の顔も三度まで、と言うよ」と彼女に言うと、
「ハイ、四度目です」と答えた。
これを聞いて、吹き出しそうになるのを抑えて、
「五度目はないよね。」
「気を付けます」で終わった。
普通、間違いを犯しても、
三度を過ぎると同じ間違いは侵さないようにするのが、
普通で、
それでも懲りずに間違いを犯す人をボクはあまり知らない。
人が一つできる間に、自分は2個、3個とできる人は、
例えば5分くらいの遅刻は、一時間以内に挽回できるからと、
高をくくっているのかもしれない。
そんな時、業務部の部長さんから、
「パートの中で、正社員に抜擢できそうな人が・・・」
と相談してきたので、彼女を推薦した。
少し離れた、彼女の後姿が見える場所で、
そんな話をしていると、
彼女が隣の人が手に余る仕事にとりかかっているのを見て、
何やら話すと、その仕事を引き取って処理を始めた。
「あんな調子で、人の仕事もやってのける女性で・・・」
と目の前での彼女の有能さを部長さんに伝えた。
数日後、彼女が相談に来た。
「正社員にならないかと部長さんに言われているのですが、
今の仕事と比べると、
一日の給料が安いのでどうしようか迷っています」と言う。
「良いじゃあないですか、正社員になれば、有給休暇もあるし、
年に二回はボーナスも貰えますよ。
ボーナスが3カ月分、夏冬二回あるといくらになります?
第一、毎年、昇給します。パートではいつまで経っても、
同じ給料でしょ。
そんなことも計算に入れれば、正社員の方がよっぽど良い筈です。」
どう納得したかしれないが、間もなく正社員になった。
しばらくすると、彼女のせいではないだろうが、
朝、30分遅れてきた人は、夕方30分余分に仕事をすれば、
遅刻などで叱られることも無くなった。
所謂、フレックスタイムと言うものの始まりであろう。
そんなことが有って以来、25年ほど経つが、
彼女は今頃どうしているだろう・・・
イギリスで彼氏でも見つけて、
うまく生活しているだろうか・・・
あるいは東京で彼氏を見つけて、
爺ちゃんからプレゼントされた
マンションに住んでいるのかしら・・・
「仏の顔も三度」と言う諺を読んで、
思い出した。