セルフプロデュースされた葬儀は、ガーデン葬でした。
故人は、高校時代からのベストフレンド・みち子さん。
自宅での緩和ケアに入ってからは、
人生締めくくりの舞台の準備を着々と進めていました。
ご自慢の庭にたくさんの花を飾って、親しかった人たちに御馳走を振る舞い
談笑をしてもらうことが式のコンセプトでした。
希望を叶えてくれる葬儀社を探し、自らが交渉をしていることは生前に打ち明けられていました。
礼服厳禁の約束事は、あくまでも明るい雰囲気を望んだからです。
とは言え
近所のお気に入りだったイタリアンレストランから取り寄せるメニュー、お薦めのビールやワインの手配。
会葬礼状は本人直筆のご挨拶。
これらを含む準備にあらためて驚かされました。
みち子さん自身による、みち子さん自身のお別れ会。
身内や親しくしていた友人たちがご自慢の庭に集って、
「へ~。このビール美味しいね」
「みち子お薦めのワインも美味しいよ」
「ローストビーフの上に、タレを全部掛けちゃうね~」
厳選された料理を味わったり
「随分と大人になっちゃって、わからなかった」
「大人と言うよりも、もうおばさんですよ」
記憶の中では、小学生姿のみち子さんの弟妹を懐かしがったり・・・
青空の下でそれぞれの参列者は、みち子さんの企画の趣旨を理解し楽しみました。
ホストのみち子さんは白い棺の中で目を閉じたままでしたが、満足したことと思います。
周りを笑わせたり、喜ばすことが大好きでしたから・・・。
ガーデン葬の締めくくりの挨拶で、みち子さんの大学生のお嬢さんが
「母の願いでした。 皆さん、笑って下さい」
自分のマスクをバッと外して作った笑顔が、泣き笑いだったので
逆に泣けちゃいました。
緩和ケアとはいえ、最後はモルヒネの効きも悪くなり
ガン末期の激痛に苦しんだみち子さん。
ようやく、痛みから解放されました。
Rest in peace. (レスト イン ピース)
安らかにお眠り下さい。
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